容姿のことでいじめられている子ども ▶小2女児のお母様より

Q

娘は少し太っていますが、毎日元気に小学校へ通っています。先日、帰宅する娘と数人のお友達を見かけました。お友達は、娘に対して「あなたは太っているから離れて歩いて!」と言って、自分たちはコショコショと内緒話をするように歩いていました。
私は驚きと悔しい気持ちを我慢することができずに、子ども達に対して「どうして娘にそういうこと言うの?」と言ってしまいました。家に帰ってから、娘にも「どうしてお母さんに話してくれなかったの?」と聞きましたが、何も言いません。
この出来事を学校に伝え、子ども達の様子をよく見て頂くようにお願いしましたが、これから何をどのように気を付けていったらいいのでしょうか。

A

:お母さまは大変驚かれたことでしょう。いじめの問題は、大きな社会問題になっていますが、実際目の当たりにされて、大きなショックを受けたと思います。
:少し太っている娘さんが、いじめにあっている現場をたまたま見てしまったそうです。
:小学校低学年ですと、遠慮がなく、こんなことを言ったら相手がどう思うかという考えに至らないお子さんもいるかもしれません。
お母さまのお気持ちはよくわかりますが、こういったお友達の言動は、お嬢さん自身が乗り越えるほかないと思います。お子さんに被害者意識を持たせたり、卑屈にさせたりしないことが、とても重要です。
学校からの帰り道に、友達から「離れて歩いて」なんてひどい事を言われるような時にも、相手にもしないでどんどん一人で帰るくらいに、たくましく乗り越えさせるのです。
:お子さんにたくましく乗り越えさせるためには、お母さまはどのような言葉がけをしていったらいいのでしょうか。
:「あなたは、どんな子がいい子だと思う?」
「お友達が悲しむようなことを言うのはいいことかな?」
「お友達にいじめられてメソメソするのはいいことかな?」
「お友達に何を言われても、美しい心を持って、勉強も遊びも頑張るよって言う子は、どうかな?」
というように、お子さん自身が考えられるような言葉がけをしていくことです。さらに、
「もしあなたが、お友達にひどいこと言う側だったらお母さんは悲しかったわ」
と伝えていくことで、道徳的に何が良いことで何が悪いことなのか、お子さんが気づいて、いじめている友達を乗り越えるきっかけになるはずです。
:お母さまが「どうしてお母さんに話してくれなかったの?」聞いても、娘さんは何も言わなかったそうです。
:きっと賢いお子さんなのでしょう。お母さんやお父さんに言えば、大ごとになってしまうことが分かっていたのだと思います。もし、学校の先生や保護者も巻き込んでしまえば、後々、自分が周りの友達から特別視されて、仲間の輪の中に入りにくくなってしまうと考えたのかもしれません。
:これから何をどのように気を付けていったらいいのでしょうか、とのことですが。
:学校の先生に、事情を説明なさったことは、よかったと思います。けれども、いじめの被害者になって、ただ苦情を申し入れるだけでは問題解決しないでしょう。大事なことは、お子さんに『愛されている』という自覚を持たせることと、容姿だけではない、いろいろなことでの自信を持たせてあげることです。
 
「あなたは健康的で笑顔もかわいいわね」
「あの子たちは、あなたのことを太っているなんて言っていたけど、それはご飯をしっかり食べて、元気に過ごしている証拠よ」
「お母さんは、元気なあなたが大好きよ」
「あなたは、お勉強も頑張っているわね」
「あら、こんなこともできるのね」
と好日的な見方をしながら、お子さんに自信を持たせていくのです。
そして、ご家庭では、家族がいつも安心して楽しい気持ちで過ごされると、きっとお母さまもお子さんも相互に気持ちが安定してくると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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