個性が異なる兄弟の育て方 ▶5歳・3歳男児のお母様より

Q

ふたりの元気な男の子の子育てに忙しい毎日を過ごしています。息子たちはそれぞれ、年長組と年少組に通っています。上の子はおっとりした性格ですが、下の子はワンパクなタイプで、お兄ちゃんと同じ事をやりたがります。実際やってみると、けっこう上手にできるので、お兄ちゃんに対して威張るような態度をとります。それについて、上の子はさほど気にしていないようです。悔しがることもないので、私の方がこれで大丈夫なのかなと心配になるほどです。
親としては、下の子の方が上の子のほうより、いろいろできてしまうと対応に悩んでしまうのですが、どうしたらいいのでしょうか。

A

:お二人の男のお子さんを、お育てになる楽しさと大変さが目に見えるようなお話ですね。きっと家の中は活力でいっぱいといった状況なのではないでしょうか。5歳と3歳という年齢からすると、それもピークとなっている時期でしょう。
:上のお子さんはおっとりとしていて、下のお子さんはワンパクだということですが。
:典型的な兄弟の姿で楽しいですね。一般的に長男は、周囲の緊張と期待と溢れる愛情の中で育ちますから、たいていは何の障害もなく欲求が満たされて、穏やかにおっとり育つと言われています。一方、次男は子育ての慌ただしさの中で、どうしても上の子と全く同じ対応は難しくなるものです。子どもは、自分の存在を主張するために、ワンパクになるのも自然の成り行きとも言えるでしょう。こういったことは、ご兄弟をお育てになった方は、ほとんど皆さんが感じていることだと思います。
:下のお子さんが、お兄ちゃんと同じ事をやりたがり、しかも実際上手にできるので、お兄ちゃんに威張るような態度をとることもあるようですが。
:兄弟の下のお子さんの成長は早いことが多いですから、5歳のお兄ちゃんの遊びを3歳の弟さんもできてしまうことは、いくらでもあると思います。また、得意な遊びならお兄ちゃんより上手だということだって、珍しくはないでしょう。
下のお子さんが、そのことを威張るのは、きっと兄弟の間で悔しい思いをしているからだと思います。2歳差という体力の差は大きく、下のお子さんにはできないこともきっとあるはずです。その無念の気持ちを分かってあげたうえで、周りの大人が
「人に威張ることは、出来ないことがあることよりも恥ずかしいことだ」とお子さんに教えてあげるとよいでしょう。
「本当にスゴイことをしても、それを自分で褒めたり威張ったりすると、すごいなぁって思っていたみんなの気持ちが消えていってしまうのよ」
「そうすると、出来ないことがある子より、嫌な子だって思われてしまうこともあるのよ」
ということを伝える機会になると思います。
:上のお子さんは、威張られてもさほど気にしていないようすで、悔しがってもいないとのことですが。
:おおらかで、おっとりとしている素晴らしいお子さんですね。きっと自分の存在そのものに、安定的な自信があるのでしょう。お母さまが、日頃、お子さんたちを伸び伸びとお育てになっている証拠だと思います。
:下の子の方が上の子のほうより、いろいろできてしまうと対応に悩んでしまうとのことですが、どうしたらいいのでしょうか。
:お子さんふたりを、いつも一緒に褒めて認めることです。下のお子さんが上手に出来たことを褒めると同時に、それを受け入れている上のお子さん大きな心を認めて褒めることで、お互いの個性が浮き彫りになり、少しずつ尊重し合えるようになるでしょう。
兄弟は対等であるものですが、競争相手として、ライバルとしてお互いを意識し合うことは宿命です。お互いを認め合うことは難しく、時間がかかることもありますが、親は徹底して、同じようにお子さんを認めて愛することで、きっと良い人間関係が作られ、それぞれの個性が生かされることでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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