祖母と子どもの関係について ▶2歳女児のお母様より

Q

私たち夫婦は共働きで、2歳の娘がいます。日中は娘を保育園に預け、夕方は主人の両親に面倒を見てもらっています。
私がいない間、娘は祖母と楽しく過ごしているようなのですが、私が仕事から帰って来ると、とてもわがままになり、祖母に冷たく接したり、私にくっついて離れなくなったりします。
すると、主人の母から、私の育て方が悪いせいだと言われてしまい。カッとなった私も言い返し、気まずい雰囲気になってしまいました。それからは、娘と祖母との関係も悪くなり、娘は「ばぁばイヤ!」と言うようになってしまいました。このままでは、娘のためにも良くないと思うのですが、どうしたらいいのかわかりません。

A

:仕事と子育ての両立には、園では補いきれない時間が、このようにとても深刻な問題になっているようです。園から帰ってきた子どもたちを、お母さまが仕事から帰る時間までどう過ごさせるのか、みなさん様々な工夫をしておいでのようです。
今回のご相談のように、おじいちゃまやおばあちゃまにお子さんを預けておいでの方は、人間関係の悩みまで抱えこんでしまいうことがあるようです。
:お母さまがいない時は、楽しく過ごしているのに、仕事から帰って来るとお子さんはわがままになる、とのことですが。
:2歳くらいになると、だんだん相手によって自分がどうしなければいけないのかが分かってきます。おばあちゃんの前では一生懸命に良い子でいようとして、子どもなりに緊張の時間を過ごします。それは、大人にとってはとても楽なことです。自分のペースで世話ができますから、楽しいと感じることも多いでしょう。
けれども、お母さまが仕事から帰った途端、お子さんのその緊張がほぐれて、めちゃくちゃな甘えとわがままで、それまでとは全く違う姿になってしまうものです。どちらも、ごく普通と子どもの姿です。
: ご主人のお母さまからは、育て方が悪いせいだと言われてしまったようです。
:働きながら、子育てをしようと頑張っていらっしゃるのですから、きっと、思うようにならないことだらけでしょう。お母さまが、どんなわずかな批判的な言葉も我慢ならないお気持ちはとてもよくわかります。
そして、おばあちゃまも、全くの愛情で孫育てに関わり、良い子になって欲しいと期待したり、自分の愛情をわかって欲しいと思ったりしているはずなのです。そんな中で、『お母さんが第一』という子どもにとっては当然の気持ちを目の当たりにして、たまらない寂しさといら立ちを持ち、厳しい母親評価をしてしまったのでしょう。
: 気まずい雰囲気になってしまい、お子さんとおばあちゃまとの関係も悪くなってしまったようです。
:子どもは、ほとんど例外なくお母さんの側につき、お母さんの気持ちをそのまま表現してしまうものです。ですから、おばあちゃまとの関係が悪くなっていくのも、当然であろうと思います。
:このままでは娘のためにも良くないと思う、とのことですが。
:おっしゃるとおりですが、問題解決には、お母さまの覚悟が必要になるでしょう。お母さまが、素直な気持ちで、おばあちゃまの努力に感謝したり、ご自身ではできないことを認めたりすることで、関係はスムーズにいくと思います。なかなか難しいことですが、まずは形から入ることを心がけるといいと思います。
: どういうことでしょうか。
:『礼儀』という言葉がありますが、それは人間関係の中で秩序や調和を保つためにお互いを大切にする心の形を言っています。
「親しい仲にも礼儀あり」という言葉のとおり、家族だからこそ仲良くしなければなりません。
そのためには、
「はい」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「ただいま」
「さようなら」
というような、ごく普通の会話をきちんと伝え合うことが基本です。
まずはお母さまが、これを実践することです。そして、お子さんが失礼なことを言った時には「ごめんなさい」を言わせて、日頃お世話になっているおばあちゃまに感謝しなければならないことを話して聞かせることです。
その言葉が、かたちだけでなくなった時、お互いの誤解やこだわりがとけてくるでしょう。
人間関係の最初のマナーを心がけて続けていけば、悪化した人間関係も少しずつ改善していくはずです。家族は努力して、良い関係を作らなければならないものです。それこそ、お子さんの良いモデルになるはずです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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