弟の方がよくできる兄弟について ▶6歳男児・4歳男児のお母様より

Q

小学校一年生と年少組の男の子の子育てに張り切っています。上の息子はマイペースですが、大変優しくお友達も多い子どもです。下の息子は、お兄ちゃんのことをよく見ているので、いろいろなことができ、園の先生からよく褒められます。兄弟仲がよいふたりなのですが、私は下の息子の方がよくできることが気になっています。文字も読めるし足し算も、上の息子よりもパパッとできてしまいます。そのことを上の息子は気にもせず「○○はすごいな~」と言っています。弟が兄を馬鹿にすることがないように気を付けているのですが、今後そうなってしまわないかと不安です。

A

:兄弟の育て方は、お母さま方を悩ませることが多いようです。けれどもこのご相談の場合、お母さまはとても良い子育てをされていることがわかります。
: どんなことからわかるのでしょうか。
:ふたりが仲良く育ち、お兄さんが弟の良さを素直に認めていることです。これはお子さんふたりを、お母さまが伸びやかにお育てになった証拠です。
: 弟の方がよくできるとのことですが。
:子どもの年齢にあった刺激の多い生活の中で、下のお子さんが上のお子さんより早く物事を覚えることはよくあることです。よくできると言っても、4歳の子どもですから、それ程のものではないと思います。今のうちから、お兄ちゃんより勉強ができるとか、頭がよいなどと言って比べないよう、気をつけなければいけません。子どもがしっかりと考えたり、感じたりすることを視野に入れてよく観察すると、きっと上のお子さんの素晴らしい面が見えてくるでしょう。偏った価値観でお子さんを比べないことです。
: どうしたらいいのでしょうか。
:お母さまが、ふたりの長所をそれぞれ認めて、なおかつふたりは同じだと心がけながら接することです。きっとさらに仲良しの兄弟になるでしょう。競い合うのではなく、お互いにないものを認め合うという生き方を教えることで、心が育ちます。たとえこれから、学校の成績などに差が出ることがあったとしても、性格や行動、趣味や特技で秀でているものがあるなら、それを褒めて伸ばしてあげることです。
: 今後、弟が兄を馬鹿にするようになってしまわないかと不安とのことですが。
:自分のほうが兄より優れているという傲慢さを持ったとたんに、弟さんの長所は何の意味もなくなってしまいます。それは、目に見える数や物覚えなどに価値を置く考え方の、もっとも望ましくない結果です。もしそんなことが垣間見えたら、はっきりとした態度で、その間違いを指摘しなければなりません。知識は育っても人格は育たないからです。
先のことについての不安をなくすことは難しいですが、今できることをなさることです。まだ、6歳と4歳のお子さんですから、お兄ちゃんの良さ、弟の良さをお母さまが口にすることで、きっと素直に受け止めるでしょう。ふたりで力を合わせればきっと素晴らしい兄弟になるわね、と常日頃からおっしゃることです。兄弟それぞれの立場を尊重することで、きっとお母さまの胸のつかえも落ちることでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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