仕切りたがる子どもについて ▶4歳男児のお母様より

Q

クラス替えを終え、年中組に通う息子は、毎日元気に園に通っています。最近私が気になっているのは、近所のお友達と遊ぶ時に、息子がその場を仕切りたがることです。『ごっこ遊び』などをしている時に息子が「おまえは○○役やって。俺は△△役になる」と指示をして、相手が嫌がると「じゃ、一緒に遊ぶのやめて」と言っているところを見かけました。
園の先生に話を聞いたところ、息子は園でもやはり同じような様子だということです。こんなことを続けて、お友達から嫌われても困るので、直して欲しいのですが、息子にどのように接したらいいのでしょうか。

A

:元気なお子さんで、すくすくとお育ちの様子ですね。4歳となると、幼児の集団の中にいろいろな差異が見られるようになるものです。身長・体重といった身体の発達や知的、情緒的、社会的といった発達の違いが表れてきます。ですから、平等で均衡のとれた関係はあまり見られず、力関係の傾斜が必ずあり、何らかの主導・支配が見られるようになるのです。2、3人集まると、その中の一人がリーダーとなることはよく見られ、その子どもが遊びの中心的役割を果たすことが多いのです。
: お母さまは、お子さんが仕切りたがる事を気にされている様子です。
:とても真面目なお母さまなのでしょうね。けれどこれは、成長の段階のひとつの過程です。仕切る事の喜びを味わえることに満足感を感じ、リーダーになりたがる子どもは多くいるものです。けれど、誰でもなれるわけではありませんから、当然トラブルも起こってきます。ここに、幼児の人間関係能力の発達のチャンスがあるとも言えます。
: お母さまとしては、お子さんの仕切りたがりを直して欲しいようなのですが、いかがでしょうか。
:この時期の仕切りたがりは、成長のひとつの姿ですから、それほど気になさることはないと思います。むしろこの機会に、お子さんを単なるボス的な存在ではなく、本物のリーダーに導く良いチャンスと考えるといいでしょう。こういったことに気が付くお母さまですから、お子さんをよい方向へ指導できるはずです。
そのためには、お子さんが仕切りたがるという行為だけを責めず、お子さんの持つ明るさや、リーダーシップをとれることを褒めながら、遊ぶ仲間みんなの気持ちを考える力を育てることです。これは、ご家庭の中が民主的であることもとても大切な要素となります。ご家族間の人間関係の中に、相互の立場を重んずる習慣があると、それがモデルになります。
また、リーダー的要素は、情緒の安定とも深く関わることです。まずお子さんのプライドを尊重したうえで、園の先生と協力しながら、お子さんに、お友達の気持ちを考えることができるように、働きかけるとよいと思います。
もしも、「仕切りたがるからキライ」とお子さんが友達から嫌われてしまったとしても、そういったことを言われることで、お子さん自身が気付くチャンスになるでしょう。この時期の子どもは、友達とのトラブルとその克服を繰り返しながら、自分の思いと友達の思いが同じであることを気づいて、成長していくものです。
お母さまは、あまり心配しすぎることなく、
「そんなことを言ったら、○○君はどう思うかな?」
「あなたが言われたらどう思うかな?」
などと語りかけながら、どうしたら友達とより良い関係を築けるのかを、お子さんと一緒になって話し合う習慣をつけられるとよいと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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