「嘘をつかない」というしつけについて ▶5歳女児のお母様より

Q

我が家の約束事がいくつかあるのですが、そのうちのひとつに『嘘をつかない』ということがあります。私達夫婦も、このことにとても気をつけているのですが、先日、頂き物をした際に、それがあまり美味しくないという話を、うっかり娘の前でしてしまいました。後日、贈って下さった方と会った時に、美味しく頂きましたとお礼を伝えたのですが、それを聞いていた娘が「ママは嘘をついた」と言いだしました。
嘘といえば確かに嘘なのかもしれませんが、せっかく贈って下さったものを不味いなんて言ったら失礼であることや、これはいい嘘なのだと言うことを娘に伝えたのですが、納得していないようです。今後もこのようなことがあると思うのですが、どのように伝えていったらいいのでしょうか。

A

:とても楽しいお話ですね。お母さまは、一生懸命しつけられているのでしょう。真面目で潔癖なお嬢さまの様子が頼もしいです。
: 嘘をつかないという約束事を、日常的に守っているようです。
:このようなご家庭の中で、きちんとしたマナーを身に付けたお子さんが育つのでしょう。素晴らしいことだと思います。
: 美味しくなかった頂き物を、美味しかったと言ったことが、お子さんの心にひっかかったようなのですが。
:このようなことは、よくあることです。大人も家の中では油断して、何でも口にしてしまうことは、普通のことですから。
ただ、美味しくないと言っていたお母さまが、その逆を言っていることが、お子さんの気に障ったこともよく分かります。大人はつい、相手を気遣って、思っていないことを言ってしまうこともありますから。5歳くらいになると、そのようなことがとても不自然に思えて、批判の目が芽生えてきても不思議ではありません。
: これはいい嘘なのだと伝えても、お子さんは納得していない様子です。
:それは、わからないでしょう。相手の気持ちを大切にするということは、確かに大事ですが、嘘は嘘であり、いい嘘と悪い嘘があるなどと言えば、迷うばかりだと思います。
: では、どのように伝えたらいいのでしょうか。
:先ずは
「そうね、お母さんは嘘をついてしまったわね。お家では美味しくないって言ったのに、下さった方には、美味しかったですって言うのは、嘘よね」
「約束破ってごめんなさいね」
「でもすごいわ。あなたは、嘘はいけないって、本当によく分かっているのね」
「あなただったら、あの時になんてお礼を言えばよかったと思う?」
「贈って下さった方を傷つけない方法で、お礼を伝える方法を一緒に考えてくれないかな?」
というような言い方がいいと思います。その上で、
「先日はありがとうございました」
「お心にかけて下さって嬉しかったです」
「どちらでお求めになったのですか」
など、決して嘘にはならない言葉を考えて話しあってみてはいかがでしょうか。伝わることも、すぐには伝わらないこともあると思いますが、長い時間をかけて、信頼を手に入れることができるでしょう。このような対応のチャンスは、日常的によくあるものです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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