意地悪をする子どもについて ▶5歳男児のお母様より

Q

もうすぐ6歳になる息子は、年長組に通っています。どちらかと言うと多動で、先生方には年少組の時からご迷惑をかけています。
それだけならまだ良いのですが、どうやらお友達に意地悪をしたり、クラスのみんなで頑張ろうとしている場面で、それを乱すような事をしたりしているようです。例えば、何もしていないお友達の足を無理に踏んだり、通りすがりに頭を叩いたり、みんなでゲームをする時にお友達をわざと転ばせたりしているようです。
先生も注意したり、少しでも良いところがあれば褒めたりして、指導をして下さっているようなのですが、あまり変化がありません。家ではどのように接していったらいいのでしょうか。

A

:どんなお子さんも生まれついて意地悪ということはありませんから、きっと何か満たされないものがあり、そうさせるのでしょう。こういったことは、お子さんからのサインです。ご自分のお子さんの意地悪を心配するようなお母さまのご家庭に育ったのであれば、いっそうそう考えられます。
: 多動で先生方にも迷惑をかけているとのことですが。
:非常に活力的なお子さんなのでしょう。同じ行動でも、活動的とかエネルギッシュであるといった表現をすると受け止め方が変わってくるものです。いろいろなことに興味を持ってきたお子さんでしょうから、エネルギッシュな行動に対して、否定的な表現をされがちで、イライラが治まることがなかったのではないかと思います。
: わざとお友達の足を踏んだり、頭を叩いたりするようです。
:きっと気持ちがムシャクシャして、何もかもが気にいらないのでしょう。そんな時には、近くにいるお友達に八つ当たりするしか、方法が見つからないのだと思います。
: みんなで頑張ろうとしている場面では、それを乱すような事をするようです。
:そんな時には、叱る前にまず、
「○○君、どうしたの?」
「どうしてそんなことするの?何かあったの?」
と、目を見て、肩を抱いて、落ち着いて話を聞いてみることです。これは、先生の場合でも、お母さまの場合でも同じです。手を振り払ったり、そっぽを向いたりすることがあるかもしれませんが、そうすることで、自分が受容されているという、安心感を持てることにつながるはずです。わざと叱られるようなことをするのは、何かの信号のはずですから。
: 先生も注意したり褒めたり指導をしているようです。
:褒めたとしても、お子さんの心の奥に秘められた微妙な心情に触れるような言葉でなければ、何の役にも立たず、かえって大人の対応を面倒くさがることにつながってしまうこともあります。何よりもまず、お子さんと向き合って、真剣に語りかけ、話を聞くことが重要になると思います。
: 家ではどうしたらいいのでしょうか。
:「○○君はどうしてそんな事をするのか、お母さんは分からなくてとても悲しいわ」
「腹が立つことがあるの?ちゃんとお母さんにお話ししてくれる?」
と、先入観を捨てて、お子さんに本気でぶつかってみることです。
このようなお子さんは、知的には優れていることが多く、お母さまが真剣に話をしていることや、話を聞こうとしてくれていることが理解できるはずです。
5年間溜め込んできたものを解消するには時間がかかるかもしれませんが、じっくり一貫して感情的にならずに関われば、お子さんは必ず変わってくるでしょう。勇気と覚悟をもって向き合って差し上げて下さい。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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