隠れて悪いことをする子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

年中組に通う娘が、最近、隠れて悪いことをすることが気になっています。
例えば、園に持って行ってはいけないものを、こっそりカバンに入れ、先生に分からないようにお友達に配ったり、いけない事とわかっているのに、習い事へゲームを持って行ったりするのです。私も、あまりきつく叱ったわけでもないのですが、これから娘にどのように接したらいいのでしょうか。

A

:気で活発な5歳のお子さんが、毎日を楽しく過ごしたいと、一生懸命工夫しているかわいい姿ですね。
:隠れて悪いことをするということですが。
:お友達にシールなどを配ったりすることを、人の物をとったとか意地悪をしたと同じように、道徳的な罪悪のように言うのは違うのではないかと思います。
自分の行動で、周囲が反応することは、子どもにはとても存在感の持てるステキなことなのです。してはいけないという約束事よりも、お友達が魅力を感じるものを配って、喜ばれる方をとるということは、子どもならば自然なことでしょう。欲求とは異なることを、無理に約束させられたら、隠れてすることもあるでしょうね。それを大人の都合で、悪い事・いけない事というなら、納得できるようにもう少し話し合わなければいけないでしょう。
:どのように話したらいいのでしょうか。
:なによりも先ず、子どもの心を分かってあげることです。
 例えば、お友達に、可愛いリボンを褒められたお子さんが、
「お友達にもリボンをあげたいから」と、園に持って行ったとします。その時、お母さまは、
「園のルールだから、そんなことしちゃダメ」と叱るのではなく
「あら!可愛いわねって言われたの?よかったわね~。とってもキレイなリボンだから、女の子はきっとみんな欲しいって思うでしょうね」
「でもリボンはいくつあるのかな?お友達にみんなにあげられるかしら?」
「もし、あなたが素敵なリボンを欲しいと思っていても、足りないからあなたにはあげませんって言われたら、どう思う?」 といった後に
「みんなにはあげられないから、園に持っていくのはやめようね」
と話すことが大切です。そのことが理解できれば、隠れて持って行かないだけでなく、他のお友達に、お母さんと同じことを言って説明したりもできるものです。
:そういえば、私もたびたびお母さんが話した通りのことを話す姿を見たことがあります。
また、習い事へゲームを持って行くこともあるようですが。
:このお子さんは、実に知的に優れていて、感覚的にも豊かなお子さんのようですね。習い事の合間の退屈な時間を、ゲームで時間をつぶして、興味をつなごうというのは、習い事の先生には失礼ながら、お見事だと思います。
子どもにとって、習い事の時間はすべて興味を持っていられるわけではありませんから、習い事の時間の流れを親子でチェックして、お子さんが自分の意思できまりを守る方法を、相互に決めるしかないでしょう。
:どのように接したらいいのでしょうか。
:子どもが自分を律する、つまり自律するためには、第一に本人が納得しなければ成り立ちません。『悪いこと』『隠れてする』というマイナスの言葉を使わず、罪深いイメージを取り除きながら、楽しく目的を持って暮らしていくマナーをお子さんと一緒に考えていくことが大切でしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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