嘘をつき始めた子どもへの接し方について ▶5歳男児のお母様より

Q

年中組に通う息子は、自分のしたことをしてないと言ったり、していないことを自分がやったと言うことがあります。
例えば、私が一緒にいる時に、近所の方から頂いた、とても上手に作った折り紙を手にして「これ僕が作ったんだよ」と言ってみたり、自分のパンツが汚れてしまったにも関わらず「僕汚してないよ、僕じゃない」と明らかに嘘だとわかるようなことを言います。やはり、嘘はよくないと思うのですが、どのように注意していけばよいでしょうか。

A

:とても正直で真面目なお母さまだとお見受けしました。お子さんの嘘には、やはりびっくりしてしまいますよね。
ただ、嘘をつくことには原因があり、それを知ることが最も重要なポイントとなります。
5歳くらいになりますと、何が良いことで何が悪いことか、してよいことや、してはいけないことなどが、比較的しっかりとわかり始めます。けれども、子供はたいてい、褒められたい・認められたい・叱られたくないという願望を強く持っています。そういった願望のために嘘という手段をとったのでしょう。
お子さんが、どうして嘘をつくようになったかという視点で、ご自分を見る事も大切です。結果だけを見て褒めたりはしていなかっただろうか、子どもの失敗に対して、お母さんが大変だという理由でむやみに叱って、子どもに心の負担を負わせていなかっただろうか、という見かたです。
お子さんが、きれいな折り紙をみせて「自分が作った」と言ったとしたら、きっと褒められたいと思ったのでしょう。そこで、お母さまは我が子が折ったものではないと知っていても、
「あら、これどうやって折ったの?」
「こんな風に折り紙作ってみたかったの?とってもキレイだものね」
とお子さんの、褒められたいという気持ちを受容しながら、嘘なんて通用しないことを気付かせなければなりません。
:自分が汚してしまったパンツも僕は汚していないと言うそうです。
:「パンツを汚していない」と言う子どもの心には、『お母さんに叱られたくない・面倒をかけたくない』という気持ちがあるのでしょう。
「汚したって大丈夫よ、すぐにキレイにしましょうね」
「今度お手洗いに行く時には気をつけましょうね」
と、まずは子どもが、どうしてそんな事を言ってしまったのかという気持ちを受容して、そのうえでやはり、お母さんはお子さんがしたことを知っていると、気付かせなければなりません。
:その時またお子さんが「僕じゃないよ」と言ったらどう対応していけばよいでしょうか。
:「あら、そうかしら。お母さんは○○ちゃんがしたと思うんだけれど」
「服を汚すことなんて誰にだってあるし、悪い事じゃないのよ。恥ずかしいことでもないわ。でも嘘をつく事は恥ずかしくて、悪いこと事なのよ」
と、きちんと伝えなければならないと思います。
そのうえで、嘘をつく事で失うものの怖さを、きちんと教えていかなければいけません。
「みんなに○○ちゃんが嘘つきだと言われてしまうと、お母さん悲しいわ」
「誰もお友達になってくれないし、先生だって何も言わないけれど、○○ちゃんは嘘をつく子だ、困った子だって思っているかもしれないわ」
「そしたら、あなたはどう思う?」
といったふうに、生涯にわたって忘れないような語りかけをすることが大切です。そうすることで、子ども自ら、自分の怖がりや見せたがりの、叱られたくない・褒められたいという癖を直そうと決心するでしょう。それが一番良い解決方法だと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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