自分の意見が言えず後でぐずる子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

我が子は、友達の輪にはどんどん入って行く反面、自分の意見を主張できないところがあるようです。
例えば、家にお友達が遊びに来た時に、お友達から「ゲームしよう」と言われると「うん」と答えるが、必ず後で「さっき私はおままごとしたかったのに」と言い始めます。
外食を決める時にも、何を食べたいか本人に聞いても答えないのに、食事を食べた後に、「私はラーメンが食べたかったのに」とグズグズ言い始めます。
自分の思っている事、したい事を最初からはっきり言いなさいと叱るのですが、なかなか難しいようで、とてもイライラしてしまいます。

A

:自分の意見をはっきりと言うことのできる、お母さまのようですね。お子さんが、事が終わった後に、グズグズ言うのが『はっきりしない子』だときになっていらっしゃるお気持ち、分からないでもありません。
:ゲームをすることを承知しながらも、後になって「ままごとしたかったのに」と言い始めるようですね。
:そういう時の子どもの心の状態をよく考えてみますと
 ①何をしたいか、特別自分の中ではっきりとしたものを持っていない。
 ②迷っているうちに、お友達が分かりやすい提案をしてしまった。
 ③お友達の気分を害さないように、その場に対応してOKした。
 ④実際遊んでみたが、それほど満足できなかった。 その時に、自分がやりたい事がはっきりとわかった。
きっとこんな状況でしょうね。
:そうですね。外食の時もやっぱり同じようです。
:自分が何を食べたいのか分からなくて、目移りしてしまうことは、誰でもよくあることですよね。お子さんなりに、とりあえず妥協の結論をだして試した後に、やっぱり違うと思ってしまう。
:お母さまは、最初から自分の思っている事をはっきり言って欲しいと思っているようですね。
:お子さんとしては、まだはっきりしていない段階・状況だったので、言えなかったのでしょう。後から「こうしたかった」というのはお子さんがずっと考え続けていた証拠ですね。実際に、遊んだり食べてみた時に自分のしたいことが分かり、お母さんには告げても良いと思って言ったのでしょうね。甘えのひとつでしょう。
こういったことを、繰り返していくうちにきちんと選択できるようになると思います。
:お母さまはイライラしてしまうようですが、どうしたら良いでしょうか。
:ほとんどの子どもたちは、言葉にする・しないは別にしても、こうして自分で選択する力を育てていくものです。お母さまはそのことを承知していて、どんな時にどんなことを言うか、観察したり見守っていると、かえって子どもの心がよく見えてきて、楽しくなると思います。
「あら、おままごとがしたかったの。おままごとは、勝ったり負けたりしないし、楽しく仲良く遊べるものね」
「今度お友達が来たら、おままごとしようって先に自分から言ってごらんなさい」
「あら、ラーメンが食べたかったの。この前食べた時、とってもおいしかったものね。じゃあ、次はきっとラーメンにしましょう」などと
子どもの選択したことについて、簡単な理由をつけてあげることで考えるきっかけを作ってあげることもできます。
子どもが今どんな気持ちで、こんな事を言っているのか考えてみると、とても面白かったり、その幼さが可愛らしかったりするものです。遠回りのようですが、お母さまのそういった気持ちのゆとりが、子どもの知的発達のきっかけを作ることにもつながるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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