何でも口に入れる子どもについて ▶1歳6ヵ月女児のお母様より

Q

初めての子育てのため、わからないことだらけの毎日です。
娘は、1歳6カ月になるのですが、まだいろいろなものを口にしたがります。おもちゃやタオルだけではなく、自分の髪を抜いて口に入れたり、砂までも口に入れたのを見て、少し心配になりました。そんな時には「メッ!」と言って叱るのですが、伝わらないようで、何度も同じことをします。
子育てしている友達に相談したところ、一度お医者様に診て頂いたらと言われてしまいました。子どもに対する私の関わりが悪いのでしょうか。

A

:初めてのお子さんですと、本当に何もかもが心配になりますよね。けれど、赤ちゃんが物を口に入れるということは、ごくごく普通のことです。私達大人が、目で見て物を確かめるように、赤ちゃんは舌で物を確認しているのです。
:1歳6カ月になっても、まだ口に入れることを心配されているようですが。
:口に物を入れて確かめる行為は、むしろ今からますます盛んになるでしょう。あらゆる商品に必ず『幼児の手の届かないところに置いて下さい』と書かれている事を、思い出して下さい。物を舐めたり、口に入れることは、小さいお子さんの特徴だと考えて、あまりご心配なさらなくてもいいと思います。
:おもちゃやタオルなどだけでなく、髪の毛や砂まで口に入れるそうですが。
:いろいろな物を、確かめているのでしょうね。髪の毛を抜いたり、髪の毛や砂を口に入れるなんて、と大人は驚くでしょう。髪の毛を抜くというと、痛いだろうし、なんとも異常な感じがしますが、案外子どもは、自分で耐えられる範囲で抜いているものです。また、子どもは、何も知らない世の中に出てきて、ひとつひとつ自分で確かめながら、物事を知っていくのですから、目で見たり手で触ったりして確かめるように、口に物を入れて舌でも確かめます。その時、舌触りを繰り返し楽しむこともあれば、不快で吐き出してしまうこともあります。こうしたことを繰り返して、物を認知していくのです。
髪の毛や砂は、大人にとっては大変不潔なものですから、お母さまにとっては耐えがたいでしょう。
:口に物を入れた時には、お母さまは叱るそうですが。
:まだ、口で叱ってわかる年齢ではありませんから、口に入れてはいけない物を口にした場合、叱るよりも、まず吐き出させたり、口を洗ってあげたりされた方が良いでしょう。お母さまが本気で口を洗ったり、指を入れて吐き出させようとしたりすれば、これは口に入れてはいけないものだと、だんだんとわかってくるはずです。
また、口に入れてはいけない物を入れようとしていたら
「これは、汚いからやめようね。こっちのおもちゃで遊ぼうね」
と、お子さんの気を他の物に移してあげることです。
そして、薬やたばこ、石けんなど、お子さんが、口に入れたら命にかかわるような物は、やはり決してお子さんの周囲には置かないことが大事です。
:友達に相談したら、一度お医者様に診て頂いたらと言われてしまったそうですが。
:どのような形で、お友達に相談されたかが問題でしょう。口頭で相談したのか、それとも実際にお友達にお子さんの様子をみてもらったのかで違うでしょう。お友達が実際にお子さんを見てそう感じたのであれば、お医者様に相談されてもいいと思います。ただ、他の発達に気を配ることも大切です。運動機能、言葉の発達、周囲の人への関わり方、などに特別な問題がなかったら、あまりご心配することはないと思います。物を口に入れることは、赤ちゃんの普通の姿ですので、お母さまの関わりが悪いとご自分をお責めになる必要はないでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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