好き嫌いのある子どものお弁当について ▶3歳女児のお母様より

Q

我が子は、食べ物の好き嫌いがたいへん多い子どもです。園での昼食は、給食が週に3日あり、お弁当の日は2日間となっています。私はお弁当を作る際に、娘の好きなものばかり入れるのは良くないと思い、嫌いなものも少しは入れるように心がけてきました。すると娘は、それを友達にあげたり、残してきたりして、完食する日はありません。それならば、やはりお弁当には娘の好きなものだけを入れた方が良いのだろうかと悩んでいます。どうしたらいいのでしょうか。

A

:豊かな時代の贅沢なお悩みですね。お子さんに好き嫌いがある事と、お弁当についてのふたつが問題ようですね。
:このお子さんには、好き嫌いがたくさんあるようです。
:食べ物の好き嫌いは、どんなお子さんにもあることですから、お母さまは「どうしても直さなくては」と考え過ぎない方が良いでしょう。お子さんが健康で元気に毎日を過ごせていれば、食事をすることの第一の目的は果たしていることになるのですから。
:園での昼食は、給食が週に3日でお弁当の日が2日あるとのことです。
:活力的な子どもにとって、お昼ごはんは一息つくための、楽しい時間ですから、お子さんが楽しみにできるようにすることは大切なことです。給食であろうと、お家のお弁当であろうと、どちらも同じです。
入園したてで、泣いてばかりいたお子さんが、給食の時間になるとなんとなく落ち着くという光景もよく目にしてきました。食べることで、活力を取り戻し、午後にはまた元気に遊べるということだと思います。
:お弁当には、お子さんが嫌いなものも入れて好き嫌いを無くそうとしているが、完食しないとのことですが。
:お子さんの好きな食べ物で、食事の栄養バランスがとれたお弁当を作る事が何よりですから、嫌いなものを入れて無理やりに食べさせようとすることは、それほど良い配慮とは言えないでしょう。
いつも課題を突き付けられて、楽しいはずのお昼ごはんまで、お母さんに叱られることを気にしたり、どうやったら食べないで済むかを考えさせられたりするお子さんの気持ちを考えてみて下さい。自分の嫌いなものを、お友達にあげるなんて、お母さんのために知恵を働かせているお子さんだと思います。その健気さを思うと、胸が詰まるほどです。
きっと園の給食にも、お子さんが嫌いなものが入っているのでしょうから、お昼ごはんが楽しくない事が続いているのだと思います。
:お母さまは、やはりお弁当には娘の好きなものだけを入れた方が良いのだろうかと悩んでいらっしゃるようですが。
:ぜひ、入れてあげて下さい。
何よりも一番に、美味しくて、楽しくて、栄養のバランスのとれたお弁当のために、いろいろと工夫されることがお母さまのなさらなければならない事なのですから。栄養のバランスが気になるなら、お子さんと一緒に食べ物の役割を話し合いながら、お作りになると案外良いアイデアが出てくるものです。
お弁当づくりに限らず、子育てにはいろいろな悩みがつきものですが、第一のことは、子どもにとって明るく活力的な生活をつくり出すことです。つまり、子どもの情緒の安定をはかることです。
そのうえで、徐々に望ましいものを育てていけばいいのであって、大人がいつも厳しく正しい要求を持ち続けていると、お互いに疲れてしまい、最も大切な愛と信頼を育てる機会を逃してしまうことにもなりかねません。
『大丈夫、この子はきっと大きくなる』と信じて、お母さまは、小さいことにあまりこだわらない事が、子育てを楽しくする一番の方法だと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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