なかなか文字を覚えない子どもについて ▶小1男児のお母様より

Q

我が子はひらがなへの興味も遅く、今はやっと読めるようになった程度で、書く時には少し考えないと出てこない様子です。
小学校では、漢字の勉強も始まっているので、遅れないようにと家でも何度も書かせて学習させているのですが、なかなか覚えません。あまりにもできないので、知的に問題があるのではと心配になったり、イライラして叱りつけてしまいます。できればこの夏休み中に、文字の学習を進めたいがどうしたら良いでしょうか。

A

:文字の習得は、精神的発達と指の運動機能など、いろいろなものと関係があるので、昔から、平均して6.5歳と言われています。それが学齢の根拠となっています。
しかし、最近では、お家でも文字指導を丁寧にする家庭が多くなってきたため、はやく書けるようになったお子さんが多くなったので、文字への関心がゆっくりのお子さんが目立つようです。
:ひらがなをやっと読めるようになったようです。
: 読めるようになったのなら、大丈夫です。文字は読むことから始まります。読むことを楽しくする工夫をしてあげることが大切です。必ず書けるようになるので、焦らずに、関わって下さい。
:具体的にどのようにしていったらよいでしょうか。
: 物には名前があるので、絵を見せてあげながら、その名前を言わせ、さらに書いてあげながら、読ませるという方法が良いでしょう。単語カードのようなものや、絵本などを使ってもいいですね。繰り返し読ませることで、楽しく遊ぶことができます。
:文字を書くときには、少し考えないと出てこないようですが。
:考えてでも、文字がでてくるようなら大丈夫でしょう。きっと言葉に興味や関心を持てないまま、ただ文字を覚えてきた結果だろうと思います。興味を持った言葉を繰り返し書いていけば、まもなく自然に50音全部が書けるようになるでしょう。最近の園のような文字指導がなかった頃の子ども達は、大部分このお子さん位の速度で覚えていたはずです。小学校1年生の国語の教科書をみたら文字がどんなにゆっくり教えられているかわかると思います。どんな子どもも、習い始めはゆっくりで、大人はハラハラしたり焦ったりしますが、一年以上差がつく事はありません。
:小学校では、漢字の勉強も始まり、お母さまはご心配のようですが。
:ひらがなが書けるようになれば、漢字については心配いりません。むしろ書きやすいくらいでしょう。
:夏休み中に、ご家庭で勉強を進めたいようですが。
:まずお母さまが焦りや不安を出さないことです。お母さまの焦りや厳しい失望的な言葉がますます、お子さんに文字への拒否感を持たせてしまうことになるでしょう。
「あなたは、ゆっくりでも必ず覚えられるわよ。○○(ゲームなど)だって、こんなに上手なのだから」
「日本の文字はたった48文字しかないのよ。みんなその組み合わせなの。毎日2つずつ覚えても、夏休みが終わる前にみんな覚え終わってしまうのよ。お母さんと競争しましょう。『あ』のつく言葉いくつ言えるか、『い』のつく言葉いくつ言えるか。言えた数だけ書いてみましょうね」
というようなやり方がいいでしょう。1日1時間もかからないはずです。そのくらいの時間は、一緒に並んでお勉強するのもいいでしょう。
ザラ紙などに大きな文字で、どんどん書き出しながら進めていくと、お母さま自身も思いがけない楽しさを味わうはずです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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