ほとんど会話をしない子どもについて ▶4歳女児のお母様より

Q

娘は年少組に通っています。家ではよく話をするのですが、園ではほとんど会話をしないようです。
実際、園の参観日に行くと、娘はニコリともせず黙って座っていて、少し心配になりました。先生からは「一日中ほとんど話さないこともあります。こちらから何か問いかけてもうなずくことも少ない」と言われました。娘に話を聞いてみると、恥ずかしいからのようです。友達とは話をしているとのことでした。私が見ている限りでは、友達とも話していなかったので、心配しています。

A

:無口でおとなしいお子さんなのですね。ご家庭ではよく話をするとのことですから心配いらないと思います。
:園の参観日では、ニコリともせずに黙って座っていたとのことですが。
:お母さまとしてみれば『ニコリともしないで黙って座っている』いうことが、先生や周囲に対して何も反応していないと思われたのかもしれません。でも、それはそれではっきりとした意思表示です。おそらく、話の内容にそれほど興味を持てなかったのでしょう。知的に発達していなければ、それはできないことなのです。
:園の先生に相談したところ、一日中ほとんど話さないこともあると言われたそうです。
:無口な子どもが、一日中話さないでいたとしても、園に行くのを嫌がらないのであれば、困ったことではありません。
言葉の発達は、話すこと、聞くこと、生活に適応すること、想像することを通して見られますから、それがどのようにできているか、注意深く観察されるといいでしょう。内言と外言、声になる言葉とならない言葉の両方を見つめる目をお母さまがお持ちになると、このお子さんが実はとてもしっかり発達していることが分かると思います。
:お子さんに話を聞くと、友達とは話をしているというけれど、お母さまにはそんな様子が見られなかったとのことです。
:4歳児がお友達と話す内容というと、どのようなことでしょうか。
:4歳のお子さんですが、まだ年少組さんですと、やはり私達大人が思うような会話は少ないと思います。話すことと言えば、持っているハンカチのキャラクターのことや、昨日見たテレビのアニメについてだとか、おままごとでの会話など、そんな内容でしょうか。
:そうですね。幼い子どもですから、大人が考えるような会話をしていると考えるのは、幻想でしょう。
思ったことや経験したことを話したり、自分が分からない事を尋ねたりするようなことが、幼児の言葉の活動にあげられます。けれども、いろいろな性格のお子さんがいますから、自分から話しかけないお子さんもたくさんいると思います。
:お子さんとどのように関わっていったらいいのでしょうか。
:「○○ちゃん、と呼んだら『はい』と声をだして答えましょうね」
「『おはようございます』『ありがとう』『ごめんなさい』はきちんと言いましょうね」
「自分がイヤだと思ったら『イヤです』と言わなきゃダメよ」 というような言葉がけを、日頃からしていくことです。
心配しすぎずに、このお子さんの内向性を大切にしてあげることです。一緒におままごとをしたり、一日に一冊は必ず絵本の読み聞かせをしたりすることなどもいいでしょう。きっといろいろなことが見えてきて、お母さまのご心配も少なくなるはずです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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