口数が少ない子どもについて ▶5歳男児のお母様より

Q

息子は大変おとなしく口数が少ないです。私はたくさん話しかけるのですが、息子からは、なかなか話しかけてくれません。そのため、息子が何を考えているのかよく分かりません。 園には、お友達もいるようですが、見ていても会話はそれほどないようです。先生も、よく話しかけて下さるのですが、やはり息子は話さないようです。
息子がこれから大きくなって、もっと話さなくなってしまったらどうしようかと心配しています。どのように接したらいいのでしょうか。

A

:温和でおとなしいお子さんなのですね。きっと内向的で、思慮深いタイプのお子さんなのでしょう。こんなふうに口数の少ないお子さんっていますよね?
:います。話しかけはしないけれど、こちらの話をよく聞いているのだな、というお子さんは、いますね。言葉がわからないのではないので、お友達とも、とても仲よくしています。
けれども、このお母さまは、話はするものの、自分から話しかけてくれないお子さんのことが気になっているようです。
:声に出さなくても、語りかけに対応できるのでしたら、こちらの言うことをわかっているということでしょう。無口な性格と受け止めてあげて、ゆったりと関わるといいと思います。お母さまは会話の中で、お子さんの様子や表情などをよく観察して、目を合わせて心と語り合うトレーニングをすることです。
:何を考えているのか分からない、とのことです。
:言葉以外でも、心を通わせたり、何を感じているのかを読みとったりすることはできるものです。例えば、相槌ひとつでも、意思が伝わります。人の態度や表情には、心が映し出されています。
口数の少ない子ほど『内言』が育っていることが多いので、成長していく中で、必要なことはきちんと伝えられるようになるでしょう。
:園では、お友達や先生ともあまり会話がないようです。
:子ども同士、直感的に内言を読みとって、心を通わせているのでしょうね。素晴らしいと思います。
園の先生も、経験上、自分の方からあまり話しかけないタイプの子どもをよく知っていて、関わって下さっているのでしょう。園がイヤだとか、生活に問題がなければ、心配せずに、この穏やかな性格を大切にしてあげることです。
:どのように接したらいいのでしょうか、とのことですが。
:幼児期の言葉は、話すこと・聞くこと・生活に適応すること・想像することの四つですが、来年小学校に入ると、読むこと・書くことが加わります。無口なお子さんには、心の世界を広げるために、このことはとても重要なことです。
ですから、文字への関心を持たせるために、いろいろ工夫をなさるといいでしょう。絵本を読み聞かせることもそのひとつです。
生活のちょっとした場面では、
「○○君の今日のおやつは、パンとケーキ、どちらがいい?」 「今日のハンカチは、青い色と赤い色とどっちがいいかな?」 など、お子さんが自分の意思を表現しなければならないような関わりを多くすることが大切です。その時に注意しなければいけないことは、言葉の先取りをしてしまわないことです。
言葉は、音声によるものではなく、知・情・意を支える重要な役割をもっています。心が豊かになれば、必ず何かを表現するようになるはずです。ゆったりと見守って差し上げることが大事だと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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