言葉が出ないために癇癪を起こす子どもについて ▶3歳男児のお母様より

Q

息子はやっと3歳になりましたが、まだ言葉が出ていません。私たちの言っていることはわかるようで「新聞持って来て」などと言うと持ってきます。指をさして「アーアー」などと声を出すこともありますが、自分の思いがスムーズに伝わらない時には、癇癪を起こすことがあります。見ていてかわいそうなのですが、そんな時にどのように接したらいいのか、よくわかりません。言葉で伝えられるようになって欲しいと思うのですが、どう関わっていったらいいのでしょうか。

A

:言葉の発達は、個人差が非常に大きく、2年くらいの幅は正常な発達の範囲です。お母さまの言うことが分かっていたり、自分の気持ちを伝えようと声を出したりしているのでしたら、心配ありません。
:自分の思うことが伝わらず、お子さんが癇癪を起こすようです。
:それはそうでしょうね。自分の思いが伝わらないもどかしさは、大変なものです。なんとか自分の思いを伝えようとしているのですから、根気よく聞いてあげるほかないでしょう。このように、言葉の遅いお子さんの話はよくありますよね?
:あります。園でも、3歳児では、本当に個人差が大きく驚くほどです。
お母さまはどのような対応をするのが良いかと言っていますが。
:どんなことでも、子どもが言おうとしていることを、分かっても分からなくても、きちんと受け止めてあげることです。この受け止めの対応が、言葉を引き出すのですから、お子さんが指でさした先などを手掛かりに、それを言葉にして、たくさん話しかけてあげるとよいでしょう。
言葉は、模倣から習得していくものです。目を見て表情を読んで、情緒を安定させながら、聞き出す努力を繰り返す事だと思います。
発音が上手にできていない事がよくあるので、
「お母さんのお口の動かし方、よく見ていてね」
と言って『あいうえお』の発音を、きちんとする練習も効果的です。
また、普通の生活の中では、いちいち声に出して言わないことを、声に出して言うこともひとつの方法です。
「お顔はタオルでふきます、お手ては水で洗います」
「お風呂のお湯はあったかです」
「パパのスプーンは大きいです」
といったような日常語をリズミカルに使って、お子さんとのコミュニケーションをはかりながらなさると、一石二鳥でしょう。
:癇癪を起した時には、どうしたらいいのでしょうか。
:この癇癪は、子どもにとっては大人の想像以上に、耐えがたいもののはずですから、叱らずに受け入れて、自分も同じ思いをしていることを伝えながら、
「ごめんね。ママ、○○ちゃんのこと言うことをよくわからないの」
と抱きしめて、まず情緒を安定させるあげることです。
そのうえで、根気よく焦らずに、聞き出す努力をする、そのことに尽きるでしょう。そうしているうちに、だんだん言葉が増えてきます。
ただ、こうした対応は、比較的長い時間がかかる事を承知していると、焦らないでできるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.