帰宅後のお友達との付き合い方について ▶3歳男児のお母様より

Q

私は仕事を持つ母親です。息子は幼稚園の年少組に通っています。お友達の中には、幼稚園が終わったあとも、家を行き来して遊んでいるお子さんもいるようです。そのためか息子も「○○君と遊びたい」「○○君はどうして僕の家に来てくれないの?」と話すようになりました。
私としては、仕事もあるし、お母さん同士の関わりも苦手なので、あまり個人的なお付き合いをしたくないと考えているのですが、子どもにどう話したらわかってもらえるでしょうか。

A

:おそらく初めてのお子さんなのでしょう。いろいろとお悩みになることも多いでしょう。お気持ちはとてもよく分かります。
そもそも園に行くということは、家庭生活ではできないような体験をしたり、大勢のお友達と遊んだりすることが目的です。園で存分に遊び、夕方帰宅したら、幼児期の子どもに相応しい健全な生活のリズムを整えて、家庭の生活時間にゆとりを持つことを大事になさることが大切です。
:お子さんが「○○君と遊びたい」「○○君はどうして僕の家に来てくれないの?」と話したら、どのように答えたらいいのでしょうか。
:「あら。あなたは○○君のことが好きなの?○○君と仲良しなの?」
と先ず、お子さんがお友達を好きだということを認めて、一緒に喜んであげることです。そして
「でも、今日はもうすぐおひさまも沈むし、パパもお仕事から帰ってくるでしょ?まだお風呂にも入っていないし、夕ご飯だって食べてなくちゃいけないでしょ?」
「幼稚園で○○君といっぱいお遊びしたの?」
「幼稚園では、思いっきりお遊びするのがお仕事よ。家に帰ってきたら、明日また幼稚園で遊べるように休むのがお仕事なのよ」
「ママとお歌を歌いながら、ゆっくりお風呂に入りましょうね。それに今日は、あなたが見たいって言っていたテレビ番組もあるじゃない」と気持ちをそらしてあげてはいかがでしょうか。
:お母さまは、お母さん同士の関わりも苦手なので、あまり個人的なお付き合いをしたくないと考えていらっしゃるようですが。
:それは、私も賛成です。『君子の交わりは淡きこと水のごとし』ということを、何度かお話しさせていただいていますが、人は育ってきた環境も、家庭の事情も、価値観も違い、お子さんそれぞれの個性もまた異なるものです。お互いを尊重するためには、あまり深入りしたお付き合いをしないことが望ましいでしょう。
お母さまが特別で個人的なお付き合いをしなくても、ただ気持ちの良い挨拶をしたり、園での共通の目的に対して協力したりするようなお付き合いができれば充分だと思います。
:子どもにどう話したらわかってもらえるでしょうか、とのことですが。
:先ず、お母さま自身が『人は人、自分は自分』『人を羨むことも卑屈になることもいけない』という価値観をきちんと持つことです。そのうえで、お子さんにそれを伝えていくことです。
:「○○君と遊びたい」と言ったらどのように答えたらいいでしょうか。
:3歳のお子さんに、お話しするのですから、先ず
「幼稚園で遊んできたでしょ?また明日お遊びしなさい。○○ちゃんも明日遊べることを楽しみにしているかもしれないわよ」
:「○○君はどうして僕の家にきてくれないの」と言ったらどのように答えたらいいでしょうか。
:「○○君のお母さんは、いっぱいお仕事があって忙しいのよ。ほら、うちだって同じでしょ?」
というような、簡潔なお答えでいいでしょう。
もっと大きくなったら、日常的に
「お友達と自分を比べてあれがない、これが足りないと言うことは良いことなのかな?」
「私はあの人よりもあれができる、これができると、出来ない人の事を笑うのは良いことなのかな?」 というようなことを、折に触れてご家庭で話すことで、お子さんはきっと、卑屈になったり、傲慢になったり、人を見下したりするような人には育たないでしょう。
そういった意味でも、今回のご相談は良いチャンスになるでしょう。お母さまもお子さんも、ご自分とご自分の時間を大切にしながら、良い価値観を育てていくといいと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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