すぐに泣いて甘える子ども ▶小5女児・5歳男児のお母様より

Q

歳の離れた二人姉弟を育てています。私たち夫婦はもちろんですが、小学校5年生の娘も、5歳の弟を可愛がっています。ただ、みんなで「可愛い、可愛い」と育ててきたためか、息子はとても甘えん坊で困っています。
もう年長組に通っているにもかかわらず、登園時にカバンが持てないとか、出来ないことがあると泣くことがあります。車で出かける時に、急に泣き出したのでどうしたのかと聞いたら「車が暑くてイヤだ」とのこと。これでは困ると思い、近頃では、家族みんなで「泣くんじゃない」「もっと強くなるように」と励ましながら接しているのですが、息子にあまり変化はありません。どうしたらいいのでしょうか。

A

:よほど可愛らしいお子さんなのでしょうね。お母さまを含めて、ご家族で気が付かないうちに、お子さんの『泣く』という命令に従わされていたのでしょう。お子さんから甘えを取り除き、自主性を育てるために、今から本気になって関わることが必要です。
:年長組に通うようになっても、出来ないことがあると泣くことがあるそうですが。
:お子さんは、泣くことで何でも言うとおりにしてもらえると学んでしまったのでしょう。どんなことでもそれで解決できると思っているのだと思います。まずは、お子さんが自分でできることは、自分でしなければならない、乗り越えなければならないことは、自分で乗り越えなければならないと、気付くようにしなければなりません。そのためには、自分でできることは手をださないで、見守る覚悟をご家族で持たなくてはなりません。
:車が暑いというようなことでも泣いてしまうそうです。
:お子さんは、自分の思い通りにならないことを、自分でどうしたらいいのかわからないのだと思います。言葉で「車が暑いから涼しくして」と言えば問題解決できるのに、そう言い方をしないでいっぺんに、乗りたくないと言って泣いてしまう、これは単なる甘えで、言葉も考えも、未熟な状態にあることを示しています。
誰でもできることを、いつでも誰かにしてもらっていて、自分でしてこなかったり、やり方を教えられてこなかったりしていたために、このような状態に陥っているのですから、叱るだけではなく、まずお子さんに自分で考えさせ、やらせてみることから始めることです。

例えば
「窓を開けたら涼しくなるわよ。窓を開けてくださいって言いなさい」
「自分で窓を開けてごらんなさい。こうすればいいのよ」
「ほら、できたじゃないの」
「あなたが嫌だというだけで、みんながお出かけしないということはできないのよ」
というような言葉がけを続けていくことです。

これからは、お子さんの身の回りのこと、園服を着ることや靴を履くこと、食後に食器を片づけることなど、ひとつひとつやらせて、自信を持たせてあげることから始めるといいでしょう。たくさんそのようなチャンスがあるはずです。
:これでは困ると思い、家族みんなで「泣くんじゃない」「もっと強くなるように」と励ましながら接しているが、変化がないとのことですが。
:突然、泣かない強い子になれるはずはありませんから、お子さんがどうして泣いているのか、何をしたいのか見極めて、できることは自分でさせること、できたら褒めてあげることを繰り返していくことです。小学校入学に向けて、ご家族一丸となって、今から続けていくことが重要です。
小学校5年生の娘さんにも
「なんでもあなたがやってあげてはダメよ。その代わりに見守っていてあげて、どうしてもできないことだけ助けてあげて欲しいのよ」
と、弟が生活技術を身に着けるために協力してもらいたいことを具体的に伝えておくと良いでしょう。
ただ「泣くな」とか「強くなれ」と言うことは、あまり効果がありません。むしろ、そのような方法しか身に着けさせることができなかった、周りの大人たちの方に責任があると考えることが大事です。

息子さんが、自立的にたくましく、これからの人生をいきていくことを考えれば、ご家族が一貫して根気よく毅然として、関わっていくことが大切です。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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