友達の持ち物を隠す子どもについて ▶4歳男児のお母様より

Q

息子は、今のところひとりっ子です。元気に園へ通っているのですが、先日担任の先生から、気になる話を聞きました。息子が、お友達の物を隠すというのです。先生は、気がついて注意して下さったとのことでした。
家では、もちろんそのような事はしませんし、特別変わった様子もないので、どうしてそんなことをしたのか分からず、親としてショックです。今後息子に、どのように関わっていったらいいのでしょうか。

A

:子どもの問題行動には、必ず原因があります。4歳くらいになりますと、お友達との関わりも多くなりますし、トラブルや、自分の思うようにならないことも沢山でてきます。お友達の物を隠した事は、何とかして、自分の思いを通したいと思ってしたことでしょう。
このようなかたちで、自分の思いを表すお子さんはいますよね?
:そうですね。私も関わったお子さんの中に、お友達の物を隠してしまったり、隠されてしまったりということがありました。
:相手への腹立ち、羨ましさ、悔しさなど、いろいろなマイナスの感情やストレスから、何とかして困らせてやろうという気持ちが働くのでしょう。ただ、相手のお子さんや、周囲の大人には、わからない理由のことが多いようです。
:他の人のものですから、お母さまは大変ショックを受けたようです。
:他人の物をとって、自分の物にするような事とは、少し意味が違います。人の物と、自分の物の区別がつかないのではなくて、しっかりついていてやっていることでしょう。息子さん本人は、それほどの罪悪感はないと思います。
:家ではそのような事はしないし、特別変わった様子もないとのことですが。
:お友達との関係から起こっていることですから、家では気が付かれないと思います。
:どうしてそんなことをしたのか、分からないとのことですが。
:なぜ、そんなことをしたのか、子どもの立場に立って真剣に考えてみることが大切です。このようなことが起こると、大人はたいてい、頭ごなしに悪いこと・良くない事をしたと、叱ったり、がっかりしたなどと言ったりしてしまいがちです。けれども先ず、できるだけ冷静に、お子さんの言い分を聞き、そのことへの共感を示して、お子さんが自分は理解してもらえたんだと感じることが大切です。そのうえで
「人の物を隠す事は、とった事と同じと思われてしまいますよ」
「イヤだって言葉で言うことの方が、相手にあなたの気持ちが伝わりますよ」
と話してきかせてあげることです。
子どものそういった行動には、案外、大人が驚くような、子どもの深い感情が潜んでいることが多いものです。お母さまがこれまで気が付かなかった、お子さんの性格や能力、考え方を知るきっかけになると思います。
:今後どのように関わっていったらいいのでしょうか、とのことですが。
:子どもの深い心の欲求に、関心をよせる習慣をつけることと、
「あなたの気持ちはわかったけれども、人を困らせたり、悲しませたり、迷惑を掛けるような事はしてはいけない」
と、はっきり伝えていくことです。大騒ぎしたり、深刻に考え過ぎたりせず、望ましくない行動を、4歳の子どもに気が付かせてあげることが基本だと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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