あまのじゃくな子どもについて ▶4歳女児のお母様より

Q

娘は、あまのじゃくなことをよく言います。3歳くらいの時から「今日は暑いね」と私が言うと「さむいよ」と言ったり「これかわいいね」と話しかけると「かわいくないよ」と答えたりします。
周りの皆さんは、反抗期だよと言ってくれますが、私が娘に注意をしても変わらず、なおりません。夫は『性格が曲がっているのかも』と心配しています。
本当に好きな人のことも「嫌い」、大好物も「マズイ」と言うので、周りの人を嫌な気持ちにさせるのではないかと悩んでいます。

A

:よく聞くお話ですね。成長したお子さんが自己主張をして、自分の欲求を通そうと、世の中の価値観に挑んでいる証拠でしょう。大人と子どもがうまく通じ合うことができず、満たされない状況が続いてしまっているのでしょうね。
: 周りの人からは、反抗期だよと言われるそうですが。
:反抗期という言葉は確かにありますが、それで片付けることなく、どうしてそのようになるのか、考えてあげることが最も大切です。
反抗期は、これまでの一方的な大人からの関わりと、子どもの欲求とがぶつかり合って、折り合いがつかなくなり『わがまま』とか『我を通している』といった形であらわれてくるものです。西洋では『独立期』と呼ばれています。
: お父さまは『性格が曲がっているのかも』と心配されているようですが。
:大人の見方からすると、もっと素直になって欲しいと思う気持ちも、大変よく分かります。けれど、お子さんは、自我の確立への苦しい戦いをしているのですから、ここはなんとか受け止めてあげることをお考えになるとよいと思います。今まできっと、お子さんが『あまのじゃく』なことを言い始めた時に、叱ったり言い聞かせたりすることに一生懸命になり、お子さんの欲求に気がつかないまま過ごしてきてしまったのでしょう。
ご主人には、今だけのことで心配ないといって、安心してもらえるようになさるとよいでしょう。
: 好きな人のことも「嫌い」、大好物も「マズイ」と言うので、周りの人を嫌な気持ちにさせるのではないかと悩んでいるとのことですが。
:そうですよね。やっぱり子どもに「嫌い」とか「マズイ」などと言われると、嫌な気持ちになる方もいるでしょう。でもそんなふうにお子さんが言ってしまった時に、
「あら、○○ちゃんが嫌いって言った時は、好きって意味なのよね。今日も反対言葉を言っちゃったわね~」
「○○ちゃんが、マズイって言う時は、おいしかったって言う意味なのよね。よかったわね」
といった言葉を、笑いながら、かけてあげて下さい。
自分でもコントロールできずに、悪ぶっているお子さんに、大人の余裕を持って、真意を察し大らかに手を差し伸べてあげて下さい。
: これから、どうしたらいいのでしょうか。
:まず、お母さまが根気よく、お子さんの欲求や主張を見つめて、受け入れることから始めるといいでしょう。実際は、お子さん自身も、自分をどうコントロールしたらよいかわからずに、困って、苛立っているはずです。その感情に寄り添って、理解してあげることが何より大切です。
たとえば、欲しいものを「いらない」と言ってしまった時、そのままいらない物として取り上げてしまうのではなく、本当は欲しいのだということを承知していて、何歩かステップをおいて、結局は子どもに手渡す方法を考えてあげることです。
お子さんの話を否定せず、そういったことを繰り返していくうちに、きっとお子さんも、情緒が安定してきて、お子さん自身の苦闘から抜け出すことができるようになるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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