家と園での様子が違う子どもについて ▶3歳男児のお母様より

Q

家ではとても元気な息子なのですが、園ではたいへん大人しい子どものようです。先生のお話を聞いても、参観日での息子の様子を見ていてもそう感じます。家では、自分の思うことをなんでも言えるのに、園では言えないらしく、いろいろと我慢をしているようです。先日は、おしっこを我慢して、失敗してしまいました。また、困ったことがあっても、先生には言えず、家に帰って来てから、私に話します。どうして、こんなにも様子が違うのでしょうか。息子を見ていると、イライラしてしまいます。

A

:お母さまとお子さんとの関係が、しっかりと出来ているようですね。
初めてのお子さんの入園なのでしょうか。とてもよくあることですから、何も心配いらないでしょう。こういったお話はよくありますよね?
: そうですね。入園して間もないお子さんですと、私どもに何も言えないということは、よくあります。翌日にお母さまからお子さんの気持ちを聞いて、ああそうだったのかと気付かされたりします。また、クラス替えがあった時などは、年長組さんでも、ロッカーの使い方がわからなかったとか、荷物の片付け方がわからなかったとか、やはりお母さまを通してお話を聞くことがあります。
:『内弁慶』と言う言葉を聞きますが、家では好きなように振舞っていても、外へ行くと緊張しているというお子さんは、たくさんいます。それでも自分を出して、何でも言える場所があるということは、子どもにとって望ましいとことです。
どんな場所でもおとなしくて、誰にも何も言えずに、失敗したり、思いを溜め込んだりしてしまうお子さんもいますから。家でお母さまに、何でも言えることは、お母さまと望ましい関係ができている証拠ですね。やがて、周りのことがよくわかって、自信がついてくると、言葉が少なくても、しっかりとしたことが言えるようになるでしょう。
: 今は、園では言いたいことを言えないらしいのですが。
:入園して間もない時期に、先生に自分の思いを言えないのは、大多数の子どもの姿だと思います。我慢をしながら『自分は何をして欲しいのか』を気付いていくのですから、成長の姿でもあるわけです。
: おしっこに行きたいと言えず、失敗してしまったようです。
:おしっこだって、例外ではなく、その場の様子になんとなく言いだせず、失敗してしまったのでしょう。こういったことは、それほど繰り返すこともなく『いつ言ったらいいのか』『失敗しないためにはどうしたらいいのか』ということに、気付く機会になると思います。先生からも、きっと適切な指導があるはずです。
: 先生には言えなかったことを、帰宅してからお母さまに話すようです。
:自分を振り返り、それを言葉で表現する力を持っているのですから、頭の良いお子さんである証拠ですね。
家では安心して、自分を出せるけれども、集団の中では緊張して、まだ安定的に自分を出せないだけのことですから、全く自然な姿です。これから、お友達や、先生との関係が出来てくると、徐々にお母さまのご心配も消えていき、一年もかからないうちに、この時期を懐かしく、愛おしく思えるようになると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.