忘れ物が多い子どもについて ▶4歳男児のお母様より

Q

4歳の息子は、心も体も平均的な発達をしていると思いますが、忘れ物が多くて困っています。
園から帰宅する際、頻繁に忘れ物をしてきますし、帰宅した後、私が「脱いだ洋服はこちらに持ってきてね」と伝えても、いつもどこかに置きっぱなしです。家にあるおもちゃは、どこに片付けたのかわからなくなってしまうようで、その度に「あれがない、これがない」と大騒ぎして探すような状態です。
このようなことが、あまりに頻繁にあるので、息子は病気なのではないかと、ちょっと不安に感じています。

A

:おおらかで活力に満ち溢れた、4歳のお子さんの様子が目に見えるようですね。
: お子さんの忘れ物が多くて、お母さまが困っているようです。
:園への忘れ物も、洋服をどこかに置きっぱなしにしてしまうことも、お子さん自身が興味のあることに夢中になって、指示されたことが耳に入らなかったり、ふと、別の事に関心が向いてしまったために起こった出来事でしょう。子どもの忘れ物は、私達大人の『忘れ物』とは、少し感覚が違います。4歳のお子さんでしたら、よくあることだと思います。
: 片付けたおもちゃが、どこにいったのかわからなくなる事もあるようです。
:現代の子ども達は、本当にたくさんのおもちゃを持っていますから、例えどんなにきちんと整理していたとしても、おもちゃのひとつが、どこかにもぐり込んでしまうことは、やはりよくあることだと思います。
子どもがあるおもちゃを探しているということは、そのおもちゃに関心があることの表れですから、
「この子は、こういうおもちゃに興味があるのね」
と、お母さまは、お子さんの興味のあるものを知る機会になさるといいでしょう。
ですから、そんな時には「あなたがおもちゃを大事にしないからでしょう」などと、叱ったりせずに
「いつ、そのおもちゃで遊んだの?」
「どんな色なの?」
「どんな形で、なんていう名前なの?」
「お母さんも一緒に探してあげるわね」
「今度は忘れない場所にしまいましょうね」
というような言葉がけをするといいでしょう。そうすれば、おもちゃが見つかっても、見つからなくても、お子さんは、落ち着いて考える機会をもつことになりますから、だんだん良い習慣がついてくるでしょう。息子さんは病気なのではとご心配されているようでしたが、心も体も平均的な発達をしているという、お母さまのその直感を信じてよいと思います。
: お母さまは、このお子さんが、心も体も平均的に発達しているけれども、忘れ物のことになると、病気ではないのか心配しているようです。
:お母さまの、『心も体も平均的に発達している』というその直感は、大変意味のある事ですから、それを大事になさるといいでしょう。
: お母さまはこれからどのような対応をしていけばよいでしょうか。
:遊ぶことは好きでも、片付けは嫌いなのは、子どものごく普通の姿です。片付けは、園でも大きな課題であるように、幼児期の全ての子どもの問題です。片付けやすさ、片付けたあとの気持ちよさ、片付け方の工夫など、お母さまがお子さんと一緒になってすることから始めるとよいと思います。
例えば、大まかに分類できて、少しぐらい乱暴に投げ込んでも壊れないような箱や、大きな引き出しを用意なさって、片付けのトレーニングするのもいいでしょう。体験することで、お子さんの興味、能力、心情などを、知る事ができ、きっと子育てが楽しくなってくるはずです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.