気に入らない子がいるため登園を拒否する子どもについて ▶6歳女児のお母様より

Q

もうすぐ小学校へ入学する娘は、最近になって「あの子がいるから園に行きたくない」と言い始めました。私としては、卒園間近のこの時期に、どうしてそんなことを言いだすのか気になり「なぜそんなこと言うの?」「あなたがその友達に何かしたのではないの?」と対応しました。
娘はとにかくその友達と合わないようなのですが、小学校へ行けば、いろいろな友達と接する機会が増え、合う子も合わない子もいると思います。
娘には、上手に人と関わって、友達の気持ちを考えられる子になって欲しいのですが、どのように接したらいいのでしょうか?

A

:小学校入学前に、お子さん自身も意識していないけれども、情緒が不安定になっているのでしょう。どこかにはけ口が欲しい状態ですから「あの子がいるから…」なんて言い出すこともあると思います。
:「園に行きたくない」と言っているようですが。
:きっと、上手く説明できないようなトラブルがあったのでしょう。単にそのお友達に会いたくないのか、園に行きたくないのか、自分でもわからないのだと思います。
お母さまは、お子さんに『みんなと仲良くして欲しい』などど、ご自分の希望を先におっしゃる前に、先ず、お子さんのいら立ちを受け止めてあげることが大切だと思います。その上で
「あら、そのお友達と遊びたくないなら遊ばなければいいじゃないの」
「他のお友達も先生も、あなたが園に来ることを待っているわよ」
「あと少しで卒園だから、後悔しないように最後まで園に行ってみたら」
と励まして送り出すことです。
:お母さまとしては、お子さんは今後、いろいろな友達と接する機会が増えるのだから、人と上手く関わって欲しいと思っていらっしゃるようです。
:子どもを良い子にしたい、きちんとした考え方を身につけさせたいという、お母さまのお気持ちはとてもよくわかります。けれども、子どもに対して『人と上手く関わる』ことを望むことで、お母さま自らが心配事をつくりだすようなことになると思います。子どもの人と関わる力は、ケンカをしたり、仲直りしたりしながら、どうすることが良いことか自分自身も気づきながら、徐々に身についていくものです。
:お母さまは、お子さんに、友達の気持ちを考えられる子になって欲しいとも思っていらっしゃるようですが。
:良い子に育てたいと思っていらっしゃるお母さまのお気持ちが、とてもよく伝わってきますね。
でもお子さんがケンカして帰ってきような時には、感情的になっているので、理屈で望ましいことを言っても通じないでしょう。
「あら、ケンカしちゃったの?ママもよくケンカしたわ」
なんて言いながら、お子さんの話をよく聞いてあげることです。どちらが良いか悪いかとか、相手の気持ちがどうだったなどということを、言い出せば、子どものいら立ちのはけ口がなくなってしまうからです。先ず受容してからでなければ、モデルは示せません。
お子さんの言い分が、一方的で身勝手に思えても、言いたいことは全部言わせてあげると、自然と落ち着いてきます。
「こちらが意地悪しなければ、何も問題ないわよ」
「あなたが遊びたいな、と思うまでは遊ばなくても大丈夫よ」
と、さらりと言ってお母さまがあまり悩み過ぎないことが大切です。
子どもの成長には、こういったことはよくあることですが、感受性の豊かなお子さんには、なおさらです。どんな相手も好きになることは、大人も子供もできない事ですから、お子さんを全面的に肯定するところから始めてあげて下さい。きっと活力的な人間関係をつくることのできるお子さんになるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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