苦手な食べ物を見ただけで吐く子どもについて ▶4歳男児のお母様より

Q

年中組に元気に通う息子は、園がとても楽しいようで私も安心しています。ただ、気になるのは、偏食がとても多いことです。給食もよく残すようなので、園の先生に相談して、いろいろなものを、少しずつでも食べられるように、取り組んで頂くことになりました。
最初のうちは、無理なく進めて下さっていたのですが、一度、野菜を食べて吐いてしまったのち、吐く癖というか、毎回吐くようになってしまったようです。苦手なものを見ただけでも吐く日もあるようで、今では苦手なものを食べさせるような関わりはしないで下さっているようです。
でも、これでは困るなと思っているのですが、どうしたらいいのでしょうか。

A

:吐くという状態は、泣いたり、痛がったりすることよりも、心配で何かあるのではないのかと、大人は敏感に反応してしまいますよね。
:偏食が多く、一度食べて吐いたら、吐く癖がついてしまったようです。
:子どもが吐くということで、考えられる病気はたくさんありますが、元気で、楽しく毎日を過ごしているのなら、病気ではなく、心因性嘔吐が慢性的になっているのだと考えられます。
:心因性嘔吐とは、どういったものですか。
:幼児期・学童期の子どもには、慢性となってしまった嘔吐現象というものがあり、毎日園や学校へ行く時間になると、吐くことがあります。これは、熱があるとか、痩せてくるとかいった症状や、病気としての原因も見当たらないものです。
原因と言えるのは、子ども自身が受け入れたくない気持ちや、イヤだと思う気持ち、無理に求められることへの抵抗などがあります。
:苦手なものを見ただけでも吐くこともあるようです。
:典型的な心因性嘔吐のようですね。気持ちの上での原因を取り除くしか、解決方法はないと思います。吐くことで、周りが大慌てして自分に関わってくれるし、自分の要求も満たされる、つまり食べなくても良いわけですから、この『吐くという手段』は、簡単にはやめられないでしょう。
:お母さまとしては、これでは困ると思っていらっしゃるようですが。
:慌てないで、見守ることです。食べたくないなら、無理に食べなくても構わないといった気持ちで接してあげて下さい。吐くことの原因は、お子さんが食べたくないものを無理に食べさせられることへの抵抗だからです。これを食べなければ、生きられないということはないとお考えになって、振り回されない事です。少しずつ食べさせることも、必要ないでしょう。お母さまも、先生も、お子さんの偏食については、しばらくそっとしておくことです。
:それでも吐いてしまう時にはどうしたらいいのでしょうか。
:そんな時には、 「また、吐いてしまったのね」
「これ食べたくなかったのね、じゃあ食べなくてもいいわ」
「自分で拭いてごらんなさい」
と言って、吐いた物の片付けに参加させること、吐くことが、周囲の人にとって嫌な思いをさせることだと、体験的に知る機会を作ることが大切です。叱ったり、大騒ぎしたりするよりも、周囲が平然と構対応するほうが、心因性嘔吐のストッパーとして働きやすいでしょう。
ティッシュペーパーや雑巾、ビニール袋などを用意しておき、取り乱さずに接することも大切です。
病気ではなく、心の問題なので、時間はかかるかもしれませんが、きっと乗り越えることができると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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