箸をしっかり持てない子どもについて ▶5歳男児のお母様より

Q

春から年長組に通い始める息子についての相談です。息子はもともと、あまり器用なタイプではなく、手先を使うことが苦手な様子です。そのせいなのでしょうが、箸の持ち方がとても変なのです。しっかり持てないため、食べこぼしも多く気になっています。やはり今のうちに、持ち方を直したほうがいいのでしょうか?箸の正しい持ち方を、楽しく教える指導方法を教えて下さい。

A

:箸や、鉛筆の持ち方は、手指の運動機能と関わりがありますので、器用に使える子と、そうでない子は確かにいます。そして、毎日使うものですから、使っているうちに、間違った持ち方が定着してしまうということも、よくあることです。ご相談のお子さんは、5歳ということで、まだまだ未発達な段階ですから、今のうちにやはり、きちんとした持ち方を身につけるといいでしょう。
:手先を使うことが苦手なようです。
:手先の器用さは個人差があります。けれども、箸や鉛筆を正しく持つことは、器用さと言うよりも、基礎的な手首の運動機能の発達と関係します。怪我や病気などではない限り、だいたい7歳くらいまでには、どんなお子さんにもできるようになると言われています。特別に器用さは必要のない生活技術ですから、しっかりと身につける方法をお考えになることです。
:しっかり箸を持てないため、食べこぼしも多く気になっているとのことですが。
:先ほども申しました通り、間違った持ち方は定着して直すことが難しくなっていきますので、もしお母さまが今気になっているのであれば、本気になって直していく事です。
:箸の正しい持ち方を、楽しく教える指導方法を教えて下さい、とのことですが。
:食事とは別の時間を作って 「見てごらんなさい。お箸を持つ時は、人差し指と中指と親指は、こんなふうに力をあわせているでしょう?」
「一本のお箸は動かないで、もう一本のお箸が細かく動いているのがわかるでしょう?そうやって力を合わせると、たいていの物はしっかりつかまえられるのよ」
などと、箸をつまんだりにぎったりしながら、手指の動きをよく見せ、ゲーム感覚でお皿からお皿に、はさみやすいゼリーやマシュマロのようなものを移動させてみるとよいでしょう。歌ったり、リズミカルにしたりすることもひとつの方法です。手の運動機能のトレーニングになりますし、親子で楽しく自然な箸の持ち方が身に付くと思います。
ゲームでは、上手に箸を持てていても、食事の時にまたもとの持ち方に戻っているときもあります。そんな時には
「あら、さっきはあんなに上手に持てていたのに、どうしたの?」
といった声をかけることによって、きっときちんと箸が持てるようになるでしょう。正しい箸の持ち方は、覚えてしまえば、落とす心配もなく、細かいものも大きなものも、物に合わせて使うことができて楽しいものです。鉛筆も同じで、正しい使い方は、たくさん字を書いても疲れにくいものです。
今この時期にしっかり身につけさせることで、お子さんが大人になった時に、きっと直してもらえてよかったと思うでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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