マスターベーションをする子どもについて ▶4歳男児の担任より

Q

勤めて2年目になります。毎日必死ですが、楽しくて充実しています。
実は今、ひとり担任で受け持っているクラスに、少し気になる子がいます。鉄棒にまたがり、性器をこする行為をしているようなのです。友達がたくさんいる時にはそうでもないのですが、ひとりで遊んでいる時には、しばしばそんな様子が見られます。そんなときには声をかけ、鉄棒から下ろし、違う遊びに誘っていますが、そのような関わりで良いのでしょうか?また、保護者にもその事をお伝えした方が良いのでしょうか。私にできることを教えて下さい。

A

:男の子のそのような行為は、珍しいことではありません。若い先生が驚くのも無理はありませんが、今の対応のまま、そっとしておくことがよいでしょう。
:ひとり担任で責任を感じているようですね。
:言葉で表現しにくく、周囲にも相談し難かったのでしょう。私達には先入観としてそういったことを、うまく口にできない傾向にありますから。
:鉄棒にまたがって、そんな行為をすることはよくあることなのですか。
:性器の快感を知って、自分でそれを繰り返して楽しんでいるというマスターベーションの行為ですね。若い先生にはそれは、異常な行為にうつるのでしょうが、性というものへのこだわりは、誰もがもっているものです。性はあらゆる生き物に与えられ、最も強く、健康な力ですから、汚いとか恥ずかしいと考える必要はありません。たまたま、子どもが、その快感を知ってしまっただけであり、そうした快感は、大人の特権であるとも言えないのです。子どもがそれを知るきっかけを持った事で、否定的に見られるとしたら、それはあまり望ましくありません。鉄棒に限らず、机の角などにこすりつけて、赤い顔をして放心状態になっている子どもを見る事もあります。
:たくさんの友達と遊ぶ時には、そうでもない様子です。
:みんなの前で堂々としないのは、誰におそわったわけでもないけれど、あまり公然とできないことだと感じているからでしょう。
:そんな時には、声をかけて、違う遊びに誘っているようです。
:それが一番いいでしょうね。性の問題をどう捉えるかは、大変重要で、その人の生き方や、人格にも関わる事です。否定的だったり、重く恥ずかしいものと捉えると、子どもの心に罪悪感や性に対する歪んだものが残る恐れもあります。まだ、幼いので、そっと見守りながら、別の遊びに誘うといいですね。
:保護者には伝えた方がいいのでしょうか。
:おそらく、保護者の方は、気が付いているはずです。黙っていてあげることがよいでしょう。親もまた、性に対して、健全に受け止められるとは限らないからです。特に自分の子どもの場合、辱められたと誤解する恐れもあります。
成長と共に、活力的な遊びや、様々なことに興味を持つことで、そのような行為が、自然に消える事もあります。もっと、夢中になるものを見つけてあげられるように働きかけ、待っていればよいでしょう。
子どものことについて、保護者と話し合う時には、相互に協力することによって、確かに改善される事だけを話す事が大事です。子どものプライドを傷つけることは、その保護者のプライドを傷つけることと同じことなのです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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