今年は3歳児20人の受け持ちになり、忙しいけれど楽しい日々を過ごしています。そのクラスの中に、運動遊びを嫌がる子どもがいて、気になっています。
女の子なのですが「転んだら困るから走るのはイヤ」「落ちたら困るからブランコはしない」「スピードが怖いから滑り台もしない」という感じで困っています。
そのお子さんのお母さまにもお話を聞いたのですが、家でも同じような様子だそうです。お母さま自身も、運動はあまり好きではないそうで「女の子だから怪我をしても困るし、運動なんてそんなにしなくてもいいのでは…」という考えのようです。そうは言っても、全く体を動かさないのは困ると思うのですが、どうなのでしょうか。
M:先生になって2年目ということで、張り切っているのでしょうね。望ましい子どもの理想像を描いておいでで、元気はつらつで駆け回っているような、子どもの姿を求めていらっしゃるのでしょう。
けれども、こういったお子さんは意外といますよね。
T:います。私が受け持った子ども達の中にも「手が汚れるからお砂遊びはしない」「やったことないからジャングルジムはやりたくない」と言うお子さんは、毎年数人いました。
園に通いたての頃は特に、これまでご家庭でどんな遊びをしてきたかによって、個人差がでてくるような気がします。
この保育士さんは、運動遊びを嫌がる子どもがどうしても、気になってしまうそうです。
M:今はまだ、外遊びの嫌いな子どもがいても、少しも心配しなくてよいでしょう。
T:「転んだら困るから走るのはイヤ」「落ちたら困るからブランコはしない」「スピードが怖いから滑り台もしない」と言うそうです。
M:繊細なお子さんなのでしょう。けれども、立派に理由が言えてすごいですよね。つまり魅力を感じないからやりたくないということでしょうから、慌てず、そのお子さんの好む遊びを、援助していればいいでしょう。
T:家でも同じ様子だそうです。
M:別にそれでもかまわないでしょう。体が大きくなって、発達してくれば、また異なった姿がみられるでしょうから、焦らないことが大切です。
T:全く体を動かさないのは困ると思う、とのことですが。
M:全く体を動かさないということは、ありえないでしょう。トイレに行ったり、教室を移動したり、必要な事は自然にしているはずです。
運動遊びとして計画したことを全くしていないということでしょうが、大丈夫です。少しも困らないでしょう。
じっくりと関わって成長を見守り、子ども自らが楽しみだすことを待つことです。一生懸命なお気持ちは分かりますが、まだ3歳ですから、うっかりすると、押しつけることになって、ますます運動嫌いが進むことも考えられます。今年一年は、運動会にも出ないくらいに考えていると気持ちが楽です。
必ず、年齢に沿った興味や関心が、体を動かしていくでしょう。