読み聞かせの途中で口をはさむ子どもについて ▶5歳男児のお母様より

Q

年中組に通う息子は、元気で活発なためか、絵を描いたり、折り紙をしたりといった落ち着いた活動は、あまり好きではないようです。
最近は、自宅で絵本の読み聞かせをしているのですが、私が読んでいると「そんなことあるわけない」「それ、ぼくも見たことあるよ!」などと口をはさみ、物語が中断することも多く、困ってしまいます。そんな時には、息子のその言葉にこたえて良いものなのでしょうか。

A

:『読み聞かせ』というと、子どもには、きちんと聞く事を求めてしまいがちですよね。でも、日常生活では経験できないような事を、親子で体験しながら語り合うのが、幼児期の絵本の楽しみ方ですから、お子さんが途中で口をはさむ事は、会話の成立にとても役立っている事になりますし、それに応えることは、とても重要な事です。
: 落ち着いた事はあまり好きではない、活発なお子さんのようですが、最近では、読み聞かせも聞くようですね。
:知的に成長している証拠ですね。
お子さんは、お母さまとのふれあい、特に対等に会話ができることを喜んでいるのでしょう。読み聞かせは、直接的な生活に見られる、命令や禁止などなく、大人と子どもの関係とは異なりますから。
: お子さんが、物語の途中で口をはさむことに困っていらっしゃるようですが。
:お子さんとの会話のきっかけにつながると捉えれば、それほど困る事もないでしょう。
「そんなことあるわけない」とお子さんが言ったとしたら、
「○○君は、どうしてそう思うの?」と聞けばよいでしょうし、
「僕も見た事があるよ」と言ったら、それこそ
「あらそうなの?どこで見たの?」と話を聞いてあげるとよいと思います。
子どもの考え方や、経験を聞くことは、子育ての中でとても楽しいことですよね。
: 物語が、途中で中断されてしまうことを心配されているようですが。
:それは全く気になさらないでよいでしょう。読み聞かせの目的は、親子の共通体験であり、精神的交流ですから。絵本は、その動機付けと考えてみて下さい。ただ、もしも、どんな絵本も、そのようにして最後まで読み終える経験がないのだとすると、それは問題ですよね。どんなに大まかでも、一応一通り読み終える事が大切です。これは、大人にしかできない、いわゆる『読み聞かせ』のポイントとなります。
絵本の読み聞かせには、お子さんとの対話や、新しいものを共通の目線で見るチャンスなど、楽しく良い事がたくさんありますので、急がず休まず続けられるとよいでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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