「泣くよ」と宣言する子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

年長組に通う娘は、プールが大嫌いです。そろそろプールが始まる季節だと思うと、親子で憂鬱な気持ちになります。
昨年は朝から大泣きで、暴れながらも登園しました。けれど、プールに入ってしまえば、先生のサポートもあり楽しいようで、ご機嫌で帰ってくるのです。朝の泣き方がまるでお芝居のように思えるほどでした。園ではプールに参加できているということは、私に甘えているということなのでしょうか。
今から、娘は「泣くよ」と言っているのですが、泣いたらどう対応したらいいのか悩んでいます。

A

:子どもが自分の意思を伝えるために泣くことは、全く普通のことで、誰でもすることです。しかし、5歳くらいの言葉で意思表示できる時期になっても、泣いて自分の要求を通そうとするのは、別の話です。そうすることで、周囲の大人が大概自分の言うことを聞いてくれたり、思い通りになったりすることを学んでしまった結果でしょう。
: プールが嫌いなお子さんは、大泣きをして暴れながら登園するようです。
:泣いて暴れても園に行くのですから、本当にプールが嫌だというよりも、もっと別の思惑がお子さんなりにあるのだと思います。
: どういうことでしょうか。
:お子さんの行動は、泣いて嫌がることで、特別に関わってもらえると知ってしまったためかもしれません。子どもにはこうした快感を求めるための知恵がありますから。大人は、子どもに泣かれることに対して本当に弱いものです。
: プールに入ってしまえば楽しいらしく、ご機嫌で園から帰って来るそうです。
:お母さまからのお話を聞いたうえで、先生も一生懸命にお子さんに関わって下さったのでしょう。集団の中で、先生が付きっきりだったのかもしれません。お子さんは、大きな存在感を持つことができて、とても楽しかったのだと思います。
: お母さまは、朝のお子さんの大泣きがお芝居だったかと思えてしまったそうです。
:おそらく、お母さまの直感は当たっていると思います。普通、5歳のお子さんが園のプールに入るからといって、大泣きはしないでしょうから、お母さまの困った顔を見たり、先生によくお願いしてもらったりするために泣いたのかもしれません。
: お子さんは今から「泣くよ」と言っているとのことですが。
:そこが幼い愚かさで、全く同じ方法でお母さまを思い通りにできると思っている姿ですね。
: お子さんが泣いた時にはどうしたらいいのでしょうか。
:「もう5歳で来年は小学校へ行くのだからあなたの望む通り、プールに入らなくていいし、園にも行かなくていいわよ」
「我慢も努力もできないで、泣いて済むと思うなら一日中でもどうぞ泣いていて下さい。でもうるさいとみんなが迷惑しますから、お部屋に行って下さいね」と、ぴしゃりと言ってしまうことです。
園の先生と相談して『子ども自身がスイミングをしたいと言い出すまではしなくてもよい』と、お母さまが覚悟を決めてしまえばいいのです。
自己制御力をつける良いチャンスになりますから、お母さまは泣かれることに負けず、怖がらないことが何より大切です。
子どもならば、大なり小なり甘えや幼い欲求があるものです。ただこのお子さんのように、大人が振り回されてしまうと、後々の成長に大きなマイナスになってしまいます。知的に優れているお子さんですから、きっと自分が本当にしなければならないことに気づくはずです。とても重要なチャンスと考えられて、しっかりと導いてあげて下さい。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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