正義感の強い子どもについて ▶6歳男児のお母様より

Q

あと一週間で、小学校へ入学する息子がいます。自分の意見をはっきり言えるし、とても正義感が強い子なのですが、それが少し強すぎて、お友達とトラブルになり、泣かせてしまうこともあります。
小学校で新しいお友達に出会うと、お互いのことがよくわからないため、そういったトラブルが増え、息子が友達に嫌われるのではないかと気になっています。息子には、もう少し相手のことを考えて言葉を使えるようになってほしいのですが、どう接していったらいいのでしょうか。

A

:とても頼もしいお子さんですね。知的にぐんぐん発達している証拠です。お母さまのご心配はわかりますが、こんなことに気づかれるお母さまとお子さんの賢さがあれば、きっと良い成長をなさるでしょう。
このようなトラブルはよくありますよね?
: あります。年長組くらいになると、良い事と悪い事の区別わかってくるので、遊ぶ時間がもう終わりだとわかると、遊んでいるお友達のおもちゃを勝手に片付けてトラブルになったりするお子さんなどを見かけます。
:言うことが正しすぎると、相手を負かしてしまう結果になって、泣かせてしまうこともあるでしょう。相手に泣かれることで、お子さん自身が『言い過ぎ』に気づくきっかけを得ることになりますから、相互に成長していくことになるでしょう。
: 小学校で新しいお友達とのトラブルが増えるのではないかとご心配されています。
:『雨降って地固まる』という言葉の通り、そのようなことがあって子ども同士の相互理解が深まり、お子さんの集団生活の中での存在感を得ることにつながるかもしれません。
: お友達に嫌われるのではないかともおっしゃっていますが。
:『嫌い』という感情は『おそれ』のようなものと関連していますから、相手の弱い所を指摘しすぎると、避けられることもあるかもしれません。そうやって傷つきながら、お子さんの社会性は発達していくのです。お子さんが、どんなことを指摘しすぎているのかをよくみて、言葉かけの仕方を考えるといいでしょう。
: どのようにしたらいいのでしょうか。
:正義感が強いというのですから、相手が間違っている場合にする指摘なのでしょう。たとえば、順番を守らないとか時間を守らないといったことでしょうか。そんな時には
「あなたはそういうことをちゃんとできて素晴らしいわね」
「決まりを守ることは、みんなが仲良くするためにとっても大事なことだから、あなたはみんなのモデルになれるわね」
「でもどうして○○君は泣いちゃったのだと思う?」
「これからもし、順番を守れないお友達がいたら、『順番を守った方が楽しいよ。こんどから気を付けてね』と言った方がいいと思うわ」
「きっと、みんながあなたは優しくて、正しい子だとわかっていくと思うわ。そうしたら、本当のリーダーになれるわよ」
という言い方で伝えることです。
子どもとは、こういった未熟さを持っているのが特質です。お子さんの厳しい言い方だけを指摘すれば、お子さんは自分が理解されず、否定されたような寂しい思いを感じてしまい、ますます強い主張をすることになってしまうでしょう。
厳しい言い方を指摘する前に、まずお子さんの言っている主張を認めて肯定してあげることが大切です。そうすると情緒が安定して、次の段階を考えられるようになるでしょう。
: 相手のことを考えて言葉を使えるようになってほしいとのことですが。
:相手のことを考えることは、とても大切なことです。集団の秩序に気づき始めたお子さんですから、相手のことを考える言い方を要求しすぎて、このお子さんの正義感を否定してしまってはかえって傷つくはずです。
お子さんを認めて、次の方法を具体的に指導することが重要です。そういったことの積み重ねで、きっと感情をコントロールできるお子さんになるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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