弟の面倒を見ない子どもについて ▶5歳男児 ・3歳男児のお母様より

Q

下の息子が入園し、兄弟で園に通い始めました。上の息子はお兄ちゃんなので、弟の面倒を見てくれるだろうと思っていましたが、実際は全くそうではありませんでした。弟が泣いても声をかけないし、荷物を持ってあげるということもありません。他の家庭ではお兄ちゃんが弟の世話をしてくれて心強いという話を聞いていたので、正直寂しく思っています。兄弟で仲良くしてほしいのですが、上の息子には優しさがないのでしょうか?私の育て方が悪かったのだろうかと悩んでいます。

A

:お子さんふたりをお育てになっていらっしゃるのですから、毎日大騒ぎでしょうね。  大きな子が小さな子の世話をすることを、素晴らしいとか優しいとか、大人が褒める心情はよくわかりますが、それは大人の願望が多くを占めているように思われます。たいていのお子さんは、自分のことに精いっぱいで、他の子の面倒みるというのは、よほどのゆとりがないとできないことでしょう。
: 弟が泣いても声をかけず、荷物も持ってあげないとのことですが。
:泣いている弟に、どんなふうに声をかけていいかわからないのかもしれませんし、いつでも泣くのだから、たいしたことではないと考えているのかもしれません。あるいは、弟が泣いているのが恥ずかしいと思っているのかもしれません。これは案外難しいことです。お母さまは、上のお子さんの立場で考えてみることが大切です。荷物のことについても、兄弟のいないお子さんは自分で頑張って持ちますし、お兄ちゃんには自分の荷物がありますから、弟の荷物を持って当然と考えることは、期待のしすぎかもしれません。
: 他の家庭ではお兄ちゃんが弟の世話をしてくれているようだ、とのことですが。
:そのようなお子さんもいることは確かですが、それでも子どもは自分のことに精いっぱいなはずです。
どんなことでも、他のお子さんと比べることはよくありませんし、あなたは弟思いじゃない、優しくないと言われれば、本当にそんな関係になってしまうでしょう。
: お母さまは、ご自分の育て方が悪かったのだろうかとお悩みのようです。
:兄弟の育て方は、一人一人をきちんと見るということが、最も重要です。兄弟の関係は、人間関係の中で最も対等なものです。順序の違いはあっても、同じ両親から生まれたのですから、常に対等に扱われることを望んでいるものです。そのために、相互に対抗意識を持っています。兄も弟も、それぞれ自分がお母さまやお父さまに、正しく理解され愛されていると感じることができれば、きっとお互いに相手のことを尊重できるようになると思います。
: お母さまは、上のお子さんが優しくないのではないかと、寂しく思っていらっしゃるようです。
:お子さんはまだ5歳ですから、人に優しくするということを、まだ学びきっていないのでしょう。どんなことが優しいことなのか、お母さまがご自分の中で具体的にお考えになることが大切です。
そのうえで、少しでも人のことを思って、譲ったり待ったり助けたりしたときには「あなたは優しい子ね」と心から褒めて差し上げることです。
そして「兄弟が仲良くすることはお母さんが一番うれしいことなのだ」と折に触れておっしゃるといいでしょう。
助けなかったとか声をかけなかったとか、マイナスの面を悲しむのではなく、良いと思われることをした時に、心から褒めて自信を持たせてあげることです。照れ屋で上手にできないお子さんであったとしても、心の中には優しさの根が育っているはずですから。それほどご心配なさらなくてもよいでしょう。お母さまがその気になって、長い時間をかければきっとすばらしいお子さんに育つと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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