負けず嫌いで言い訳をする子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

スポーツが大好きな娘の通う園では、最近、運動会が近づき、クラス対抗リレーの練習が始まりました。たとえ練習であっても、リレーに負けて帰宅すると、娘は泣いて悔しいと訴えます。さらに「負けたのは○○ちゃんが遅いせいだ」とか「△△君が転んだせいで負けた」などと言い始めます。私は「それは違う。お友達のことをそんなふうに言う子の方が、もっと弱いのよ」と言って聞かせますが、練習は毎日あり、毎回その話の繰り返しになってしまいます。こんな時、我が子にはどんな言葉をかけてあげたら良いでしょうか。

A

:園の練習で負けた事を、お家に帰ってお話ししながらまた泣いてしまうだなんて、本当に一生懸命で素敵なお子さんですね。負けた原因追究までできてしまうようですから、知的にも優れているのでしょう。ただ、精一杯戦ったお子さん自身の疲れなどから、なかなかその悔しさを乗り越えられないでいるのだと思います。
: そんな時、お母さまはどのような対応をしたら良いでしょうか。
:まずは、お子さんの言動に振り回されないことが大事です。泣いて悔しがっていても「これほどまでに夢中になれるなんて、素敵なことだな」と楽しむような気持ちでいることです。そして、たとえお子さんが誰かを責めるようなことを言ったとしても、それを咎めないことも大切です。
 そして、
「あなたは一生懸命がんばったのね~。あらそうなの、△△君は転んじゃったの、それは残念だったわね~」
「△△君が転ばなかったら勝てたのかもしれないのね」
と、お子さんの残念な気持ちを受け入れ、自分も残念に思っていることをまず伝えてから
「かけっこは何人で走るの?」
「そう、じゃ必ず1番になる子と、2番、3番になる子がいるわね。きっとみんな1番になりたいと思っているでしょう。でもそうならないところに、リレーの面白さがあるのよ」
「足の速い子もいるけれど、遅い子も、転んでしまう子も、バトンを落とす子もいるでしょう。その子たちみんな、泣きたいくらい困って、恥ずかしく思っていると思うわ」
そんな事を話し合ったうえで
「失敗したお友達に、あなたが『いいよ、がんばろう』と言ったら、みんなどう思うかな?お母さんはそんな事ができるあなたを誇りに思うわ。リレーで頑張った時よりも嬉しいわ。明日はまた、頑張ってきなさい」
というように、認めて、讃えて、応援することを繰り返していくと良いと思います。
: 最近では、子ども達が、悔しがったり泣いたりするような、園での『競争』はやめるべきではないかという意見もあるようですね。
:そのような意見もありますが、ほとんどの子どもは運動会が大好きです。園で行われる運動会などは、みんながそれぞれに違う能力を持っているという現実を、子ども達自身が、実感的に、具体的に味わう機会と言えます。難しい言葉で言えば、社会の実相を知る原体験の場です。これは、思いのほか大切なことなのです。競争しながら、自分の力を磨き、相手の力も認めていく良いチャンスなのです。悔しさや苦しさを乗り越えて成長する様子を、お母さまも応援しながら見守られると、さらに子育ても楽しくなるかと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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