勝ちたがりの姉弟について ▶小2女児・4歳男児のお母様より

Q

ふたりの子育てを楽しくしています。夏休みに入った子ども達が、家で過ごすことが多くなり、下の子どもへの対応に手を焼いています。
これまでも、息子の『お姉ちゃんには負けたくない』という気持ちが強いことはわかっていました。食事の量、風呂に入る順番、着替えの速さなど、あらゆることについて、息子は姉に負けると、そっくり返って怒るのです。
娘も大人になれず、弟に勝ちを譲ろうとはしません。最近は家族でよく、トランプのババ抜きをして遊ぶようになりました。息子は負けると、カードを投げて怒り、とても最後までゲームができません。いったいどうしたらいいのでしょうか。

A

:頼もしい息子さんですね。4歳の活力あるお子さんが、何もかもお姉ちゃんと同じにしたいと思うのは、自然なことであり、お子さんが健康的にすくすくと育っている証拠のようなものだと思います。
: 何に対してもそうだということですが。
:このくらいの年齢差ですと、お互いに上下を気にせずに、対等のつもりになっているものです。年齢の差を当然と承知しているのは、大人だけで、本人達は本気で、ライバル意識を持っているものです。
上の子が褒められても、下の子が褒められても、お互いが耳をすませて敏感に反応するはずです。そういったことは、当然在り得ることだと思います。
: 下のお子さんは、負けるとそっくり返って怒るようです。
:どんなに勝ちたくても、4年間の生活経験は埋めがたいものです。きっとこれまで、いろいろな場面で、無念の思いを噛みしめてきたのでしょう。そのイライラが溜まりにたまり、何かのきっかけによって、大声をあげたり、そっくり返ったりすることとなったのでしょう。
これは、周囲にとっては迷惑な行動ですが、本人にしてみれば、そうするほかに、はけ口が見つからなかったのだと思います。こういった時に、無気力になって内にこもってしまわないのは、きっと伸びやかにお育てになっていらっしゃる、家庭の良さだと思います。
ただ、活力的な子どもが、イライラや葛藤を乗り越えて、みんなと楽しく過ごす方法を身につけるためには、大人の覚悟が必要になるでしょう。
特に、親としては、姉弟仲良く育って欲しいと願うはずですから、一人ひとりの思いを受け止めることに気をつけることが大切です。
: 娘さんも弟に勝ちを譲らないとのことですが。
:それもまた、当然でしょう。弟が本気になっている姿を見れば、自分も本気になるのは自然なことです。小学校2年生で、わざと負けて勝ちを譲ってあげられるような、精神的にゆとりのあるお子さんは、あまりいないと思います。
きっと、娘さんなりに日頃、譲ることもあるのでしょう。相手があまりにもワガママを主張する時に、対等に感情的になるのは、子どもらしい姿です。大人の『子どもにはこうあって欲しい』と思う気持ちを押しつけることはできないものです。
: ババ抜きをして負けると、カードを投げて怒り、ゲームにならないとのことですが。
:これは、また別の話です。してはいけないワガママですから、お子さんが自分をコントロールできるように、トレーニングすることです。
すぐにゲームをやめて、『ルールを守れない人はゲームをさせません』と、楽しみを取り上げてでも、してはいけないことをきちんと気付かせることです。お子さんが泣いても騒いでも、毅然としてルールを守らせることが大事です。大人の側でも、今日は特別、などと適当に妥協しないことです。こういったことを、繰り返してきちんと訓練していけば、お子さんの社会性も育っていくことでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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