思い通りにならないと泣き叫ぶ子どもについて ▶3歳男児のお母様より

Q

この春、入園予定の息子は、私達夫婦が高齢になって授かった子どもです。本当にかわいくて、日々、甘やかしてしまっていると感じています。主人は特に、息子が欲しがるおもちゃを、何でも買い与えてしまいます。
息子はよく店頭で、欲しいものが手に入らないと、大暴れして泣き叫びます。その姿がかわいそうなので、つい私も欲しがるものを買ってしまいます。毎日そんなことの繰り返しです。
買ったものを大切にするのならいいのですが、家にはおもちゃなどがたくさんあるので、みんな散らかしたままです。どうしたらいいのでしょうか。

A

:3歳くらいのお子さんの激しい自己主張や要求に対応し切れなくなって、お困りになっているお母さまのお気持ちが、よくわかります。
: 高齢になって授かったお子さんを、甘やかしているとのことですが。
:あまりにかわいいので、この子が求めるものなら何でも、という親としてのご心情はとてもよく分かります。ただ、なんでも聞き入れていると、お子さんの要求がエスカレートしてしまうのは当然でしょう。
: 欲しいものが手に入らないと、大暴れして泣き叫ぶようです。
:子どもが、泣いて叫んで、親に命令するとはこのようなことです。
: かわいそうなので、欲しがるものを買ってしまうことの繰り返しだとのことですが。
:泣いても騒いでも、ダメなものはダメだということを、しっかり知らせることが、このお子さんへの愛情です。
人には、欲しいものや、こうあればいいということが、必ずあるものです。それを我慢したり、場所を考えてコントロールしたりすることを教えることは、とても大切なことです。そういった親としての関わりが『家庭のしつけ』と呼ばれるものです。
まず、外出する前にはお子さんと、しっかり目を見て話をすることです。そして、お店で泣いたり、暴れたりした時には、お母さまはどんなに辛くても、周りに決まりが悪くても、お子さんにきっぱり断ることです。ご主人と協力して、まずは3回、きちんと続ければ、お子さんも『この方法は通用しないぞ』と、分かって変わっていくはずです。
脅し言葉や、親として本当にはできないことを言ったりしたのでは、何の役にも立ちません。例えば
「ここにおいていきます」とか
「もう二度と連れてきません」とか
「もう何も買ってあげません」いうような言葉です。
すでに子どもは、そんなことは本当にはしないことを、見抜いています。
: たくさんのおもちゃを大切にしていない、とのことですが。
:これこそ、子どもの普通の姿です。まだ、物の価値などの観念が育っていない子どもには、無理もないことです。悪いことというより、自然な姿です。
おもちゃがたくさんあることも、またないことも、それなりに意味のあることです。このお子さんは、溢れるほどおもちゃを持っているのですから、そのことを前提として、しつけを考えられるとよいと思います。この機会に、お子さんとご一緒に、おもちゃがどこから来たのか、誰が作ったのか、よく話し合っていくと、そのことに対する答えを通して、子どもの姿を捉えることができます。どのような言葉がこのお子さんにとって、適切なのかを知ることができるでしょう。
おもちゃは子どものものですから、おもちゃを大切にして欲しいという大人の願いを込めた絵本がたくさんあります。そんな絵本などを読み聞かせることもよい方法です。
家庭は、人間の性格をつくり、人格を築き、生活方法・技術を学ぶ、人間の大地と言われています。愛情深いご夫婦ですから、厳しくてもお子さんと本気で向き合うことで、泣き叫んだり、暴れたりすることも、少しずつ改善されていくと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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