相手によって反抗の仕方が違う子どもについて ▶5歳女児のお母様より

Q

娘は最近、反抗期のようです。私が「これをしなさい」などと言うと「イヤだ」「したくない」などの答えが返ってくることが多くなりました。また「これが欲しい」「あれをやりたい」などと言い出したら、なんとかそれを通そうとすることも多いです。
気になるのは、厳しい父親に対してはそんな姿を見せず、私や祖父母に対して反抗的なことです。反抗期があることは承知していますが、人によって、態度が違うことがあるのでしょうか?どうしたら、なおるのでしょうか。

A

:このご相談は、5歳の女の子の自然な発達の姿ですね。今まで命令や指示をしていた大人に対して、自分の意志や、欲求をはっきり主張し始めたのですから、反抗的に見えても当然でしょう。けれども、その意志や欲求の良し悪しまでは、まだよく分かっていないということはあるかもしれません。
: 言い出したら聞かないそうです。
:それは、子どもの欲求の強さの証拠です。けれど、あまりに分からないことや、単なる我がままと思えることを言う場合は、大人がそれに巻き込まれない事が大切です。要求には、聞けることと聞けないことがあることを、はっきりさせてあげるとよいでしょう。聞けない理由に説得力があることも大事です。
: 説得力とは具体的にどのようなものでしょうか。
:きちんと話して、納得させることのできる力を説得力と言いますが、それは一朝一夕やその場だけで働く力ではありません。大人の言動に一貫性があることが必要です。同じことでも、許される時と許されない時があると効果はありません。
我を張り通すことを頑張れば、根負けしてくれるという経験などがあると、子どもは、どこまでも要求を突き付けて、反抗することになるでしょう。
: お子さんの態度が、相手によって違うとのことですが。
:ただ単に、お父さまが厳しいから、というのではなく、おっしゃることが一貫しているということもあるかもしれません。大人の都合によって、NOと言ったりYESと言ったりすることは、すぐ見抜かれてしまいます。お子さんは、今までの経験の中でどうすれば、自分の要求が受け入れられるかを学び、それに見合った対応をしているだけでしょう。
: どうしたらいいのでしょうか。
:まずは、お子さん自身の成長や、理解力を借りる事だと思います。
「今までお母さんは、あなたの求めることは良いこともそうでないことも聞いてしまっていたわ」
「あなたは5歳になったのだから、これからは、どうして今それをしたくないのか、どうして今これが欲しいのか、きちんと理由を考えて言ってね」
「そのうえで、お母さんがあなたの言うことがよくわかったら、あなたの言うようにするわ」
と、穏やかな場面を捉えて、毅然と伝えることが必要でしょう。
始めはお母さまの変化に適応できなくて、「だって」とか「でも」とか「お母さん大嫌い」とか反抗を続けるかもしれませんが、お母さまがくじけないで繰り返していくことです。
5歳にもなれば、いろいろなことが理解できるようになって、知的にも情緒的にも、著しく成長する時期ですから、その力を借りつつ、取り組まれるとよいでしょう。
: 人によって態度が違うことが気になっているようですが。
:お子さんが賢いために、相手を見ているだけですから、是々非々で愛情を持って対応していけば違いが、かえって子どもの成長にとって良いと思われるときがくるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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