友達におもちゃをねだられる子どもについて ▶4歳男児のお母様より

Q

私達夫婦は共働きで、主人の両親と同居生活をしています。そのため、子育てについては、園と義父母にいろいろと助けて頂いています。
地域的に田舎なためか、最近近所の男の子が頻繁に家に遊びに来ているようです。それは、嬉しいことなのですが、小学校中学年で、息子よりも年上なそのお友達が、どうやら息子のおもちゃを欲しがっているようなのです。息子に何度も「これもらっていい?」「これいらないでしょ?」と繰り返し聞くので、息子も困っているようです。
息子が「このおもちゃ、○○君にあげてもいい?」と聞いてきたので「あなたは、大切に使ってきたこのおもちゃを○○君にあげちゃっていいの?」と尋ねたところ「イヤだ」と言うので、私からその男の子に断りました。今後どのように対応していったらいいのでしょうか。

A

:子どもにとって、友達はとても大切な存在なので、お母さまのもどかしいお気持ちは大変よくわかります。
けれど、人間関係能力を育てるために、これほど難しい問題からスタートすることは、決してマイナスのことばかりではありません。後になって、良い経験をしたと思うことにもつながります。
このように、子どもがイヤだと言えない関係に悩んでいる例は、よくありますよね。
:そうですね。自分も一緒に仲間にいれて欲しいあまりに、あげたくないシールを欲しがったお友達にあげてしまったお子さんのお話など、園でも聞きます。
:自分にとって、その友達が必要なのかどうか、本当にその人とお付き合いしなければならないのかという判断は、人間関係の基本的なところであり、子どもであっても、とても大切です。
:近所のお友達が家に遊びに来る際のトラブルのようですが。
:人間関係は相互の信頼の中で育つ、実に自然な感情を基にしています。どうしてもその子でなくてはならないとか、下手な対応をして近所で孤立したら困るなどといったことも配慮しながら、お母さんが素直な気持ちを正直に相手に伝えてしまうことです。我慢して、お付き合いする必要はないのだと覚悟を決めることも大事です。
また、このようなことは『物の所有の意識』をきちんと育てるための良い機会にもなるでしょう。
NOと言える勇気と言う言葉もありますが、断り方も上手な言い方を考えて、お子さんに指導なさるといいと思います。
:どんな言い方をしたらいいのでしょうか。
:もし「これもらっていい?」と聞かれたら
「ごめんなさい。今ここで遊ぶならいいけれど、大事なものだからあげられないの」
「パパに買ってもらった大切なものだから、あげられないの」
「今は使ってないけど、あとで使うから。ごめんね」
という風に、勇気を持って、本当のことを素直に伝えさせることです。このような言い方なら、お子さんも言いやすいはずです。
:もし「たくさんあるのにケチだね」などと言われたら、どうしたらいいでしょうか。
:「ケチな事と、物を大切にすることは違うと、お母さんが言ってたから。ごめんね」
と言うような返し方を、親子で考えてみておくとよいでしょう。
そういった対応で、そのお友達が家に遊びに来なくなってしまったら、それはそれでいいでしょう。子どもの友達関係は、対等であることが大切ですから。
また、触れられたり、欲しがられたりして困るようなものは、目つくところに出しておかない事も工夫のひとつです。自分の持っていないおもちゃを、子どもが欲しいと思う気持ちは、ごく当然の感情です。子ども同士が、対等な関係でいられるような環境を作ることは、大人の大事な役割と言えるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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