園の物を持ち帰ってしまう子どもについて ▶4歳女児のお母様より

Q

年中組に通う娘は、最近、毎日のように園の物を持ち帰ってきてしまいます。絵本に粘土、粘土ベラなど、毎回違うのですが、その日園で使った物を持って帰ってくるようです。
本人には、それは園でみんなが使うものだから、持ち帰ってはいけない。明日自分できちんと返すこと。持ち帰りたい時には、先生に聞く事等を話して聞かせるのですが、改善されません。いったいどうしたら良いでしょうか。

A

:自分の物と、他人の物の区別は、しつけの上で大切なポイントになりますから、お子さんが自分の物でない物を持って帰ってきてしまった時のお母様のショックとご心配は大変なものでしょう。
きっとお子さんとしては、誰の物と言うわけでもなく、みんなと一緒に自由に使って遊んでいるのだから、そのまま家に持って帰る事にそれほど抵抗がないのでしょう。つまり、遊ぶ場所を、園か家かをはっきり区別しなければならないという認識がない状態なのですね。
:お母さまは「みんなで使うものだから持ち帰ってはいけない」等とお子さんに伝えているそうですが。
:黙って人の物や、公共の物をとる事が、恥ずかしい行為だとは理解できていないのでしょう。
また、お子さんは、先生に「これ、お家に持ってしまいました。ごめんなさい」なんて謝ること事でもないと、思い込んでいるのだと思います。
:どのように対応したら良いでしょうか。
:お母さまは叱る前にまず 「あなたは、これで楽しく遊んだのね。これが欲しくなっちゃったの?ほら、お家にも同じ物があるでしょ?それではダメなのかな?これが本当にどうしても欲しいのなら、お母さんに言いなさい。自分の物ではない物を、家に持って帰ることは、とても恥ずかしい事で、悪い事なのよ。園のみんなは、あなたが『どろぼう』したなんて思うかもしれない。それは本当に、悲しい事なのよ」としっかり話してみましょう。
そしてその後、持ち帰ってきてしまった物を、お母さまがお子さんと一緒に返しに行くという事が必要になります。
「娘が、園の物を、持って帰ってきてしまいました。しつけが至らず、申し訳ありません」
と、きちんと謝り、その本気の姿を子どもの目に焼き付けなければなりません。子どもは、お母さんが恥ずかしそうに謝る姿を見て『これは悪い事なんだ』という事を理解できると思います。
今回のご相談の中にある、お母さまの真剣なご心配は、本当に望ましいものだと思います。この機会に『自分の物と自分の物でない物の区別をはっきりつけること』が正しくお子さまに伝わったなら、その他の事でも、このお子さんの社会性の発達に大変良い影響を与えるはずだと思います。ぜひ、お母様にはご自分の責任として、お子さんと一緒に問題解決にあたってほしいと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.