我が子のマイナス面を園から知らされないお母さま ▶4歳男児のお母様より

Q

元気な息子は、3歳児のクラスに通っています。どうやら息子は、周りのお友達に対して、叩いたり押したりすることがあるようなのです。
園からは何も言われていないのですが、息子のお友達から「おばちゃん、○○君がこんなことしたんだよ」と言われて、初めて知りました。
やはり子育てをしている、私の友達の話を聞くと、どこの園でも比較的子どもの良いことは教えてくれるけれど、マイナスなことは教えて頂けないようです。こういう形で知るのなら、先に園から聞いておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。 

A

:お子さんの問題を園の先生ではなく、他の方から聞いたのは、お母さまとしてはショックでしたね。けれども、先生からお話がないのなら、子どものよくあるトラブルのひとつだったのでしょう。
:息子さんのお友達から聞いたそうです。
:子ども達は、お互い成長期にありますから、日々たくさんのトラブルが繰り返されています。先生が間に入ることもあれば、子ども同士で解決することもあります。自分がしたことは忘れてしまっても、されたことは忘れないということもありますから、解決済みでも強く印象に残っていた出来事を、そのままお母さまに話したのかもしれません。とても子どもらしい姿です。
お母さまは、驚かれたでしょうが、そんな時には、
「ごめんなさいね。○○にもよく言っておくから、これからも仲良くしてね」
と、受け答えたら、相手のお子さんもきっと気持ちが済むと思います。
:園は子どもの良いことは教えても、マイナスなことは教えないということを、気にされているようです。
:お子さんのよいことや成長した姿は、園の先生にとっても大きな喜びですから、お友達との関わりが上手にできるようになったことなど、先生もどんどんお家の方にお話しするのでしょう。一方、お子さんのマイナスとも思われることで、それが育ちの中のひとつの過程の姿ならば、その段階ではいちいちお家の方に話さないのは、どんな園でもごくごく当たり前のことです。
田村先生はいかがですか?
:お家の方に対して「お子さんのマイナスなことを話さないでおこう」という意識はもちろんありません。例えば、最近目に見えてお子さんの情緒が乱れているとか、頻繁にお友達を叩くといったことがあれば、お子さんの家での様子を知り理解を深めるために、園での様子をお家の方へお話しします。そのように、状況をみて子どもの成長にとって、そうする方が望ましいと判断した場合には、一緒に解決する方法を相談するようにしています。
:きっと、このお母さまは「園から先に知らされていたら、こちらから謝らせたのに」とお考えになったのかもしれません。間違えたり、失敗したりしないで大きくなる子どもはいませんから、良い子にお育てになるために注意したいというお気持ちもよくわかります。とても真面目なお母さまなのでしょう。
ただ、私は常々『子どものよいものは喜びの中で育つ』ものだと考えています。おおらかな気持ちで認め、受け入れ、褒めることで、子どもは嬉しい気持ちを認識して育っていきます。
また、園の先生への信頼は、幼児教育を成立させる、重要な要素でもありますから、あまり焦りすぎないで、園を信じてお子さんの自然な育ちを見守ることが大切です。そうすることで、お母さまもきっと、お子さんの幼児期を楽しくお過ごしになることができるでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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