乳児後期のたくましい成長に戸惑うお母様について ▶9か月女児のお母様より

Q

娘がハイハイを始め、とても動くようになり、マンマンマンなどの言葉も言うようになり、私は毎日が楽しくて仕方ありません。けれど、娘は自己主張もするようになってきました。危ないものを持っている時に、取り上げるとワーと泣いて怒ったり、危ないと思われる場所にサークルをつけると、それを叩いて怒ったりします。
それを見た主人は、娘が強い子になっては困ると言ったり、あまり泣かすなと言ったりします。そう言われてもダメなものはダメなので、困ってしまいます。幼い娘には、まだ言って聞かせても伝わらないので、目で「メッ」と言ったり、手をピンッと叩いたりしていますが、そのような関わりでいいのでしょうか。

A

:お子さんは、大変順調な成長ぶりですね。9カ月頃の発達は、移動が自由にできるようになったり、手や指の操作ができたり、自分の要求をもって声を出せるようになります。大人の模倣を始めるのもこの時期です。
ハイハイをして、広がった世界の事を考えてみて下さい。興味や関心の広がり、つまり認知機能や感情機能がどんどん豊かになっていく時期なのです。親としては、楽しく嬉しくステキな時期を迎えたと言ってもいいでしょう。
:自己主張をするようになり、危ないものを持ったり、危ない所へ行ったりするようになったということですが。
:それこそ、人間宣言のようなものです。今まで守られてばかりだったのに、ものすごいエネルギーでどんどん成長し、周囲の物を、自分の中に取り込もうとしているのです。危ないものであろうと、とにかく触ってみたいのです。
:危ないものを取り上げると、泣いたり怒ったりするので困っているようですが。
:その状況は発達している証拠です。もしお子さんが、取り上げられても泣いたり怒ったりしないで、お母さまの言うとおりにしていたら、それこそ大事件です。
お子さんは、目も手も発達している時期ですから、引っ張ったり、つまんだり、握ったり、出し入れしたり、そんな探索行動を充実させるためのおもちゃをたくさん用意し、環境を整えてあげることが大切です。
そして、お子さんが見つけて触れたものを、お母さまが一緒に喜ぶことで、遊ぶ楽しみと同時に、親子の愛情関係を作り上げることにもつながります。
:サークルに入れると叩いて怒るそうです。
:知的にもとても発達されているお子さんですね。サークルがお子さんの檻になってしまわないように、そのサークルの中にいることが退屈でないように、成長に合わせた環境を作ってあげることです。
:ご主人は、娘が強い子になっては困ると言ったり、あまり泣かすなと言ったりするそうです。
:泣くということは、子どもが言葉で伝えることができない意思表示ですから、子どもの要求を受け止めれば、泣かなくなるでしょう。『発達が分かれば子どもが分かる』という言葉がありますが、おそらくご主人は、子どもがどのような発達をするのかご存じないために、そのようなことをおっしゃるのだと思います。
お子さんの要求を受け入れつつ、伸びやかに対応していけば、きっと穏やかで、賢いよい子に育つと思います。ただ我侭で強情な子どもにはならないはずです。
:お子さんに「メッ」と言ったり、手をピンッと叩いたりしているとのことですが。
:それは、せっかく出てきた良い芽を早々に摘み取ってしまうような行為です。危険と思われるものは、取り除き環境を整え、子どもが喜びそうなおもちゃをたくさん用意して、子育てを楽しんで下さい。おもちゃは、工夫して、作ることもできます。対応次第で、きっとお母さまも子育てが、もっと楽しいものになるはずです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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