吃音をからかわれている子どもについて ▶4歳男児のお母様より

Q

息子には、吃音がありますが、私も主人もそのことはあまり気にせずに、ただゆったりとした気持ちで、息子の話を聞くように心がけています。
先日、園以外の場所で、息子と同じ園に通うお友達と一緒に、遊ぶ機会があったのですが、そのお友達が、吃音のことで息子をからかったり、バカにしたりする姿をみて、大変ショックを受けました。その場で、そのお子さんを怒るわけにもいかず、息子には「大丈夫よ」と声をかけて、そこから離れて過ごしました。息子に話を聞いてみると、園でもやはり同じようなことがあるようです。息子にはどんな言葉をかけたらよいのでしょうか。
また、今後同じようなことが起こった場合、どう対応したらよいのでしょうか。

A

:お母さまはきっと、いたたまれないお気持ちだったことでしょう。からかわれている場から、離れたことは、正解であったと思います。
吃音そのものは、お母さまのおっしゃるように、それほど気にする必要はなく、むしろ普通に接することが一番良いと言えるでしょう。それにも増して大切なことは、そのお子さんが、感受性がとても豊かで、表現したいものを沢山持っている、知的なお子さんであると理解して見守ることです。
:息子さんによると、園でも吃音をからかわれることがあるようですが。
:園の先生が、全く気が付いていないのだとしたら、問題ですし、本当にそのような事があるならば、先生に直接お話しすることが、両方のお子さんにとって必要なことになります。ただ、事を荒立てないように、配慮をお願いする程度の言い方をすることが大切です。
:お母さまのショックは大変なようで、お子さんにどんな言葉をかけたらよいかということですが。
:この機会に、お父さまやお母さまが、吃音をどう思っているのか、お子さんに本音を話すことです。
「あなたの心の中には、お話ししたいことがいっぱいあって、一生懸命お話ししようとするから、つまずいてしまうことがあるのよね。おりこうさんだから、いっぱいお話ししたいことがあるんだってことは、ちゃんとわかっていますからね」
「お話しする時の最初につまずく事や、ちょっとつまずくと、癖になることは、よくあることなのよ」
「必ず治るから、あなたも気にせずに、ゆっくりお話しなさい」
と、本気で話すと、お子さんも安心できるでしょう。
そのうえで、お友達にからかわれたことについて
「少しも恥ずかしいことではないのよ。お友達の上手に話せない事を、笑ってからかうことの方が、ずっと恥ずかしいことなのだから、堂々と胸を張っていなさい」
と話して、自信を持たせてあげることです。
:また、お母さまが目撃したような場合には、どう対応したらよいのでしょうか。
:相手に対する特別な注意などせずに、急いで連れ帰っておいでになるのが、一番いいでしょう。大変難しい問題なので、相手のお子さんに、直接注意することや、我が子の状況を説明するようなことは、避けた方がよいでしょう。
あとは、黙って見守っていてあげることが一番です。子ども同士のことですから、またこだわりなく遊び始めることもあるでしょう。お母さまが心配しすぎて、緊張すればするほど、長引くことになるかもしれません。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.