子ども同士の手紙のやりとりについて ▶5歳女児のお母様より

Q

年中組に通う娘は、文字が書けるようになり、園の友達と手紙のやり取りをしているようです。それは良い事だと思うのですが、その内容を読んでみると、少し気になることが書いてあるのです。例えば、『明日は○○ちゃんと一緒に遊ばないよ』『私は☆☆ちゃんだけが好き』などといった内容で、これはどうなのかと思ってしまいます。こういった手紙には、どのように指導していったらよいのでしょうか。

A

:子どもの成長と共に表れてくるお悩みですね。
手紙を書くことは、子どもにとって素敵なことですが、内容のことまで考えるには至っていないのでしょう。子どもの書く手紙は、大人の物とは違いもありますから、あまり心配いりません。
:子どもにとって、手紙とはどんな意味があるのでしょうか。
:今まではその場で消えてしまっていた言葉が、文字が書けるようになったことで、伝える相手が目の前にいなくても、気持ちを伝えられるようになったわけです。そんな方法を獲得し、子どもにとってはたいへんな世界の広がりと言えるでしょう。と同時に、自分の成長への優越感を著しく満足させるものです。
:手紙には、お母さまが気になるようなことが書いてあるようです。
:手紙をやり取りできる相手は、友達の中でも特に親しく、しかも同じように発達している子どもに限られているはずです。お母さまはきっと、お子さんの友達関係をご心配されているのでしょうが、そこには親が踏み込まない方が良いでしょう。子ども達自身が、手紙だけでなく、遊びや話し合いの中で解決していくに違いないからです。 子ども達は、楽しく遊びケンカして、仲直りして、また遊ぶという繰り返しの中で『手紙』というものの役割や限界を学んでいくでしょう。
周囲の大人は、見て見ぬふりをしながら、手紙の先にある子どもの姿をしっかりとらえ、人の悲しむことや、嫌がることを、したり言ったりしてはいけないということを、知らせていくことです。
:こういった手紙には、どのように指導していったらよいのでしょうか。
:まず大切なことは、お母さんが手紙の内容などに振り回されないことです。お子さんの友達関係に、お母さまが踏み込み過ぎることになるからです。手紙そのものについての指導や訂正は、今はまだ必要ないでしょう。きっと適切な時期がこれからやってきます。『文は人なり』と言われるように、人を育てることが第一です。お子さんの生活が、穏やかで充実したものになるように心がけることで充分です。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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