夫の子育て観に疑問を感じているお母様について ▶4歳女児のお母様より

Q

保育園の年中組に通う息子は、大人しい性格です。本人の話によると、園では、お友達に叩かれたり、いじめられたりすることがあるようです。
私は、そんな息子の話を、とりあえず聞いているのですが、主人は息子に「男ならやり返してこい!」と言います。そういう子育てって、どうなのだろうかと、主人と話し合ったのですが「男なのだから、そのぐらいでいい」と言います。実際に息子がケンカをして、相手に怪我をさせても困るのですが、毎日のように、お友達に叩かれたなどと話す息子にどのように対応したらよいのでしょうか。

A

:初めてのお子さんを、ご夫婦で一生懸命お育てにいる楽しそうな様子がうかがえて、とても素敵だと思います。
4歳の男のお子さんが、園で、いろいろなトラブルにあってお家でお話ししている姿が目に浮かびますね。
いじめられるということは、別な問題でありますか
ら、園の先生と話し合うことも必要でしょう。この年齢では、先生がご存じないということはありえませんから。しかし、このお話はお父さんとの子育て観の違いをおっしゃっているようですから、その点について考えてみたいと思います。
:ご主人は息子さんに「男ならやり返してこい」と言うそうですが。
:ご主人のそんな正直な感情の対応は、それなりに子どもに生きる力を与えるのですから、お母さまは「まあまあ」と笑って聞き流すくらいでいいでしょうね。暴力肯定だとか、お子さんが争いを引き起こすかもしれないとか、大げさに考えることはないと思います。
お子さんをしっかりと可愛がっているたいていのお父さんは、男の子に強くなって欲しいと思って、そのようなことを言うかもしれません。もう少し大きくなれば『暴力はいけない』とお子さんは必ず理解できるようになるでしょう。
力の強いものが、弱いものを支配するという事実・現実は確かに、何千年の歴史が証明していますから『やられても我慢していることが良い事』ではないと、たいていのお父さんは、知っているはずです。
:お母さまは、そういう子育てはどうなのかと思っていらっしゃるようです。
:正直で、直情径行のご主人で、案外お子さんと心が通い合っているはずです。その子育ては、親子の人間関係としては、大切な姿でもあります。
:ご主人は「男なのだから、そのぐらいでいい」とおっしゃっているようです。
:それはそうでしょうね。泣いて帰ってきたり、いじめられたと訴えてばかりの男の子ではダメだと、男性として腹を立てて言っているのでしょうから、それは、ご主人に任せておくといいでしょう。
:お母さまは、相手に怪我をさせても困るとおっしゃっていますが。
:4歳ぐらいのお子さんで、ちょうど自分の思いと他人の思いを学ぶことを課題にしていますから、お互いに痛い思いをしたり、悔しがったりして、自分と他人の気持ちを理解していく過程です。相手に怪我をさせるというほどのご心配なさることもないでしょう。泣いたり泣かせたりする、子どもらしい自然な生活を受け入れてはいかがでしょうか。
:毎日のように、お友達に叩かれたと話すお子さんには、どのよう対応したらいいのでしょうか。
:「仕方がないわね。弱いあなたが、どうしたら強くなれるか考えてごらんなさい」
「ご飯をいっぱい食べて、強い体を作るとか、嫌な時にはやめてと言える勇気を持つとか、そんなことが大事だとお母さんは思うわ」
というようなことを言いながら、お子さんが自分で乗り越える力を育ててあげることです。肯定し、励まし、次の方法へ進むための助言をしてあげることだと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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