夫との子育て観の違いに悩むお母さんについて ▶2歳男児のお母様より

Q

息子は、2歳になったばかりですが、息子が生まれてから、夫婦げんかが増えました。主人は、私に「母親は家に居て子どもをしっかりみていろ」と言いますが、私は、少しは外で働いたり、たまには、友達と過ごす時間も欲しいのです。また、主人自身は子どもを叱る事はしないのに、私に対しては「もっと厳しく育てないとダメだ」と注意してきます。
そんな主人との子育て観の違いに、イライラして、息子にあたりちらしたり、息子の前で夫婦げんかをして、息子が大泣きをしてしまったこともあります。
子育てというより、自分の心が安定せずに、本当に参っています。どうしたらよいのでしょうか。

A

:子育てにとって、お母さんの精神的安定は、とても基本的で重要なことです。このお母さまは、2年間も夢中で頑張っておいでになったのでしょうね。
:お子さんが生まれてから、夫婦げんかが増えたそうです。
:子どもを産んで育てるということは、お父さまにとってもお母さまにとっても、人生の重大事です。お互いをよく理解したうえで、『両親』の名のとおり、親として対等な立場で協力し合うことが不可欠です。夫婦げんかが増えてしまったということは、どちらか一方の考え方が強調されているからでしょう。
:ご主人は「母親は家に居て子どもをしっかりみていろ」というようですが、このお母さまは、外で働いたり、友達との時間が欲しいようです。
:若いお母さまのこういった心情は、よく理解できます。けれども、このことへの周囲の無理解が、多くのトラブルの原因になっているようです。
お母さんになったといっても、つい先日まで、ご自分なりの存在感を持って仕事をこなし、休日には、友達と過ごす時間を楽しんでもいたのです。しかし、結婚して子どもが生まれたとたん、責任重大でしかも、かたときも休みのない子育てという任務を当然のごとく果たさなければならなくなったのです。ご主人をはじめ、周囲もそれが当たり前だと期待しています。お母さまのイライラは当然だと思います。
:今回のご相談では、周囲の無理解というよりも、ご主人の理解が得られていないようですが。
:そのことが、一番問題ですね。周囲が何と言おうと、ご主人が分かっていていてくれれば、乗り越えられることでも、ご主人が、古い役割分担の意識を持っていて、それをそのまま奥さまに求めたとしたら、子どもを育てる前に、育てる人が病気になってしまうかもしれません。
:夫婦の子育て観も異なり、ご主人は奥様に、お子さんを厳しく育てるように言うそうですが。
:きっとご主人は、お子さんが可愛くて仕方がないのでしょう。これは、今回の問題解決の糸口にもなることだと思います。
子どもが可愛い・大切だという一番大切な思いは、夫婦間で一致している事です。つまり、目的は同じであって、そのための方法のところで意見の食い違いがあるのですから、きっと話し合いで解決するでしょう。『今のままでは、私はダメになってしまう。この子のためにもう一度話し合いましょう』と、ご主人と向かい合うことです。
:もしご主人が、その気持ちを受け止めてくれなかったら、どうしたらよいでしょうか。
:子どもの親として、一緒に家庭を作るパートナーとして、本気で真剣に向き合うことです。
また、自分の気持ちを安定させるためにも、今の気持ちをすっかり話せる相手を見つけることも大事です。ご自分のお母さまや、姉妹、子育て中のお友達など、愛情をもって受容してくれる人を選んで、言いたいことを正直に話すことで、自分の胸の内も整理できると思います。 さらに、ほんの少しの時間でもいいので、お子さんと離れて、自分の今一番したいことをしてみてはいかがでしょうか。お友達とのおしゃべり、お買い物、ドライブ、何でも構いません。その間は、誰かにお子さんをすっかり預けてしまうのです。この頃は、そうしたお子さんを預かる子育て支援センターもありますので、ご主人がお仕事に出掛けている間の一時間でも、試してみると、違う自分が発見できると思います。
焦らず、頑張り過ぎず、一歩一歩行動を起こしてみて下さい。きっと何かが見えてくると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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