期待しすぎて厳しく叱る父親について ▶5歳男児のお母様より

Q

年長児の息子が、サッカー教室に通い始めました。主人はサッカーが大好きで、息子が始めたことをとても喜び、教え方にも熱が入っています。それはいいのですが、息子が上手にできない時に、すごく叱ることが気になっています。人前でもかまわず、大声で怒鳴るのです。
息子に上手になって欲しいという気持ちはよく分かるのですが、叱り方があると思うのです。そんな話を、私が主人にするとケンカになってしまいます。息子がかわいそうなので、なんとかしたいのですが、どうしたらいいのでしょうか。

A

:お子さんのために、本当に一生懸命なご両親ですね。昨今では、スポーツ選手の指導方法が問題になっているので、上手に話題を持っていくとよいでしょう。
:それは、どのようにしたらいいのでしょうか。
:お子さんに対しては 「よく頑張ったわね、大変だったわね」と努力を認め、お父さんの厳しい指導が、子どもにとって負担が過ぎるかどうかを見極めて、
「お父さん、怖かった?」
と聞いた後、
「お父さんは、サッカーのことになると熱中しちゃうから、○○君のこともプロ選手みたいに思ってすごく期待しちゃうみたいね」
「期待が強ければ強いほど、ついつい叱り方がエスカレートしちゃうのね、きっと」
このような言い方をなさるといいでしょう。『お父さんが悪い』といった前提で話し始めると、ご主人の立場がなくなったり、話がこじれたりすることがありますから、このような時にこそ、お母さまの役割がでてくると思います。
:お子さんが上手にできないと、ご主人が怒鳴るようですが。
:本当に一生懸命なお父さまなのですね。お母さまは、自分が叱られてるように胸を痛めているのでしょうね。
:お子さんに対する叱り方の話をご夫婦ですると、ケンカになってしまうとのことですが。
:お子さんのサッカーを上達させて、体力を向上させたいという目的は、共通でしょうから、それを確認したうえで、その指導者としてのご主人を尊重して意見を言うという立場を取ることが大切です。
そのためにはまず、お子さんに対して
「お父さんは、○○君を本物にしたいのね。きっと自分もなりたかったから、スポーツの厳しさを伝えたいのでしょうね」
といった言葉がけで、お父さんの立場を自分も尊重していることを知らせることです。
一方では、ご主人に対して
「そんなに怒鳴ったら、周囲で見ている人達も驚くでしょう。もう少し抑えて」というような、ご主人が冷静さを取り戻すことができるような伝え方をするといいでしょう。
お子さんの味方について、ご主人を責めてしまうと、その両方の気持ちが満たされないことになりかねません。
怒鳴られるのが怖くてイヤなら、お子さんもきっと、サッカーをやめると言うでしょう。辛くても続けようとしているのなら、お母さまも一呼吸おいて、お子さんとご主人をフォローしながら応援なさってはいかがでしょうか。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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