入学後に登校を嫌がるようになった子どもについて ▶6歳男児のお母様より

Q

息子が小学校に入学しました。入学前はとても楽しみにしていたのですが、実際に通い始めたら、登校を嫌がるようになってしまいました。
どうやら、先輩の2年生に強いことを言われることがあり、それを怖がっているようです。息子が学校で、きちんと過ごしていなかったからなのでしょうが「ちゃんと並べ!」「廊下は走るな!」などと言われた時に、とても怒られたと感じてしまったようです。
登校を嫌がる息子に、私は「何を言ってるの。学校へ行きなさい」と言っていますが、このような接し方でいいのでしょうか。

A

:感受性の強いお子さんなのですね。きっとたくさんの純真な期待を持って、入学したのでしょう。男の子ですと、周りも乱暴な扱いをしがちですが、感じやすいお子さんならば、どんな小さな否定も、想像以上に心に響いてしまうことを考えなければいけません。厳しい言葉にも、きっとなれていないのでしょう。
よく聞くお話ですよね?
:はい、そうですね。
相手のお子さんには全く悪気がなく、活力的な遊びの中での乱暴な言葉を、怒られたと感じてしまうお子さんもいますし、お友達が叱られたことが気になって、それを怖がるお子さんもいます。
:小学校入学は、新しい世界に旅立つということですから、今まで知らなかった世界が急に広がり、戸惑うことは、ごく普通のことかもしれません。
:2年生に強いことを言われることを怖がっているようです、とのことですが。
:言葉づかいは、本当にはっきりとした違う世界を感じさせますよね。これまで、命令形で言われたことなどないお子さんが、急に乱暴な命令形をつかわれたら、叱られたとか、否定されたと思って、怖がることは当然でしょう。
:学校に行きたくないと言い出したようです。
:このことが、お母さまの一番のご心配なのでしょう。今は、不登校という言葉もよく聞きますから、お子さんが上手に適応できないのではないか、という不安が、お母さまを焦らせているのでしょう。
:お子さんに対して「何を言ってるの。学校へ行きなさい」というような接し方でいいのでしょうか、とのことですが。
:お母さまのお気持ちはとてもよく分かりますが、そう言われてしまうと、お子さんには逃げ場がなくなってしまいます。お子さんのとても不安な気持ちを、しっかりと受け止めてあげて、乱暴な言い方をされても、それは、たいしたことはないんだとわからせてあげることです。そのうえで『自分はお母さんに見守ってもらえている』ということを感じさせることが、とても大切です。
何よりも最初に
「あらぁ、それは怖かったわね。そんなこと言われたら、お母さんも怖いと思うわ。世の中には、そんな乱暴な言い方する人がいるのね」というような共感をしてから
「とっても大きい声だったの?」
「あなたを殴りそうだったの?」
「どんな時に言われたの?」
「他のお友達も言われたの?」というような、状況や原因を冷静に振り返られるような応答をします。そして、
「そうだったの。でも、きっと大丈夫よ。どんな乱暴な言葉をつかっていても、心の優しい人はたくさんいるし、あなたがきちんとした小学生になれるように、そう言ってくれたのかもしれないわ。怖がらずに、ごめんなさいって言ったり、ハイって言ったりしてごらんなさい」
「きっと何ということはないわよ。乱暴な2年生が『こいつは良い奴だ』と思って、これから守ってくれるかもしれない」というようなことを話してあげることです。
お母さまが、学校に行きたくないというお子さんの気持ちに対して、受容し共感し応答しモデルを示すことを繰り返していくうちに、お子さんもきっと、怖がることなく安心して登校するようになっていくと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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