入園してから服や鞄などをなめるようになった子どもについて ▶3歳男児のお母様より

Q

元気に園に通い始めた息子ですが、最近、自分の服や髪の毛をなめたり、鞄のひもを口にいれるようになったことが、気になっています。
「汚いからやめようね」と私が声をかけるとやめるのですが、気がつくとまたなめています。入園してからの行為なので、園での生活が原因なのかなと思うのですが、どのようにして、なめる事をやめさせたらよいでしょうか。

A

:お母さまからしてみると、不潔で困るなぁというご心配のお気持ちは、とてもよくわかります。でもこれは、赤ちゃんや幼いお子さんが指しゃぶりをすることと同じなのです。新しい生活に適応しようとしながらも、情緒を安定させようとする、お子さんなりの非常に健気な努力の姿だと思います。
:園には元気に通っているようですが。
:周囲からみるとそう思えるでしょうが、子ども達にとって、実際は新しい世界での驚きや不安がいっぱいでしょうし、興味や関心を持ちながらも、そういったものに関わる戸惑いもあるはずです。
入園したばかりのお子さんの中には、おねしょや、指しゃぶり、吃音が始まるといった例はよく聞きます。どれも、お子さんが無意識の中で、新しい生活適応への不安と、戦いながら自分をコントロールしようとしている姿なのです。つまり、マイナスな姿というより、子どもにとっては前向きな姿と考えるとよいでしょう。
:「汚いからやめようね」と声をかけるとやめるのですが、気がつくとまたなめているそうですが。
:舌は、手でも足でも得られない敏感な感覚が、子どもの心に伝わるところであるために、お子さん自身も、本当に無意識に口へと運んでいるのです。
だからといって、なめても良いという事ではありませんが、一生懸命に生活に適応しようとしているお子さんに「そんなこと汚いでしょ」と言えば、かえってお子さんを刺激することになりかねません。
お母さまは、お子さんのその状態を受け入れながら、他のことに関心が向くような働きかけをし、お子さんの髪や洋服や鞄をできる範囲で構わないので、さりげなく清潔にしておく事がとても大切です。
例えば、「○○ちゃんが、そんなに好きなカバンならきれいにしておきましょう」と言って、笑いながら丁寧に拭いたりする事です。
:やめさせるには、どのようにしたらよいのでしょうか。
:それには、やはり一番は、安心して生活できる、開放的な雰囲気づくりに努めることです。そして、園での生活のあれこれから、お母さまも解放されて、何があっても大したことないと構えてしまっていることです。そのことで、お子さんの関心は、園以外の他のものに向くはずです。そうすると、家に帰ってから、園生活の良し悪しを気にせず過ごすことができるでしょう。
また、お母さまやお父さまが、一緒に遊んであげることもひとつですが、洗濯物を一緒にたたんだり、台所でお手伝いをさせたり、そんな些細な事でもいいので、お子さんと集中した時間を作るように工夫してみて下さい。そんな時間の積み重ねによって、ずいぶん違ってくると思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
Copyright(c) Yamanashi Gakuin University. All rights reserved.