裸になるのを嫌がる子どもについて ▶3歳男児のお母様より

Q

園には元気に通っていますが息子は、裸になることをとても嫌がります。お医者様に体を診せる時、市の健診で身体測定をする時、大泣きをします。園で服を着替える時などにも、ひどく泣くようです。
園ではもうすぐプールが始まりますが、息子が毎回着替えで泣くようでは、先生方に申し訳ありません。なんとか嫌がらないようにさせたいのですが、家ではどのようなことに気をつけていけば良いでしょうか。

A

:初めてのお子さんで、お母さまもきっと色々な事が心配なのですね。
子どもが、何かをとても嫌がったり、怖がったりする場合には、たいてい原因があるはずです。感受性の特に豊かなお子さんが、忘れられないような体験、例えば『怖い』とか『痛い』といった思いをした事が原因でしょう。
元々、子どもは、何も知らない新しい世界に生まれ出たのですから、不安や恐怖との戦いを日々乗り越えながら生きていると言ってもよいくらいです。
:裸になる事を、とにかく嫌がって泣いてしまうようですね。
:きっと、お医者様に聴診器をあてられ、その後注射をされたとか、背中を診せてと言われ服を持ちあげられた後に、治療を受けたとか、日常によくある事が原因なのでしょうね。服は体を包むものですから。体をむき出しにされる時感じる不安は誰にでも多少はあるものですが、このお子さんは感受性が強くて、お母さまでさえ気がつかないうちに、怖い体験をしてしまったのでしょう。
子どもが泣くという事は、必死の拒否であり、抵抗です。お子さんが、嫌がったり、不安に思っているのだと分かったら、それを否定しないで、まずその気持ちを受け入れる事が大切です。
「あなたはお洋服脱ぐのが嫌なのね。分かった分かった、大丈夫よ、何も痛くないし、怖くないわよ。ちゃんとお母さんがついてますからね」
と嫌がっていることを叱らないで、安心させたうえで、脱がせてあげて下さい。
:園で着替える時にも泣いてしまうようですが。
:子どもがどんな事を嫌がって泣くのか、園の先生にお母さまからお話ししておくことも大切です。園での着替えというと、汗をかいたときや洋服を汚してしまった時などでしょうから「ひどく着替えを嫌がったら、場合によってはそのままにして置いて下さい」とお願いしておくと良いですね。
:もうすぐ園でもプール遊びが始まり、お子さんが裸になる機会が増えるだろうと、お母さまは心配されているようです。
:お子さんがプールに入らないことで、園の先生に迷惑をかけるのではと、気になさっているのでしたら、それは全く心配ありません。園の先生には
「嫌がるようでしたら、かまいませんから、お友達がプールに入る様子を見させておいて下さい」
と伝えておくと良いでしょう。お友達がプールで楽しく遊ぶ様子を見ていれば、お子さんも徐々に変わってくると思います。焦らないで見守ることが大切です。
:お家ではどのような事に気をつけたらよいでしょうか。
:感受性の強いお子さんの性格をまず受容してあげて下さい。もし、お子さんが、何かに不安や恐怖を感じているような時には
「大丈夫よ、お母さんは、ちゃんとここにいますからね」
「ほら、ちっとも怖くないでしょう」
「何が来ても大丈夫。お母さんがやっつけてあげるから」
と、安心させてあげて下さい。
そして、もし周囲の誰かが、お子さんが怖がりで困るというような事を言ったら
「この子は、感受性が豊かなんです。なんでも生き生き見えるんです。大きくなったら、素敵な芸術家になるかもしれません」
と、堂々と言い切ってしまえばいいでしょう。
また、プールのある日に、お子さんが帰宅したら
「今日はお友達のプール遊び見てたの?楽しそうだった?」
「何も怖いことなんかなかったでしょう?あなたがもし、プールに入りたくなったら、先生にお願いするわね。いつでもお母さんに言ってね」
そんな声がけをしながら、焦らず、促していくといいでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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