怖がりな子ども に頑張らせたいお父さんについて ▶5歳男児のお母様より

Q

日頃は元気で、わんぱくなくらいな息子ですが、とても怖がりで困っています。昼間なのに怖くてトイレにいけませんし、私がトイレにいくと一人で部屋にいられずにトイレに入ってきます。節分の時期には、怖がって園に行くのも嫌がります。主人は「男なのにお前が甘やかしているせいだ!泣いても頑張らせろ!」と言います。私も頑張らせたいと思うのですが、どうしたら強くなっていくのでしょうか。

A

:感受性の豊かなお子さんなのですね。『怖がり』とみてしまうと心配でしょうが、豊かな想像力を持っていると考えればきっと、楽しみが出てくることでしょう。   T  部屋に一人でいられず、トイレの中に入ってくるとのことですが。 :とても良い親子関係ができている証拠ですね。目に見えないものを想像して怖がっているのですから、知的に発達している証拠とも言えるでしょう。
:節分の鬼を怖がって、園に行くことを嫌がっているようです。
:節分の鬼は、ほとんどの子どもが怖いものです。実際、目には見えない怖いものは、世の中にはたくさんあって、それが姿をもってでてくるのですから、怖くないほうが普通ではありません。それとどう戦うか、どう追い払うか先人が工夫してきたことが節分という行事ですから、そのことをお子さんにきちんと話すことです。
そして、ただ単に「怖くないよ」というだけでなく「先生やお友達が助けてくれるから大丈夫よ」と声をかけて送り出したらいいでしょう。鬼がやってきて、みんなで豆を投げつけ、泣いている子を先生や友達が守り、やがて鬼が去っていくという経験は実際にやってみなければ、どうしてこれをするのか理解しにくいものです。
:ご主人は「男なのにお前が甘やかしているせいだ」と言うようです。
:このようなことをおっしゃるお父さまの話はしばしば聞きます。男だからこそ、怖いものへの覚悟が必要だとお考えなのでしょう。怖がらないことは必ずしも望ましいとは言えないでしょう。怖いものや恐ろしいものに立ち向かって乗り越える力というのは、幼いころからの様々な経験を通して身に付くものです。得体の知れないものの本当の姿を知って、自分の力で怖さを克服することや、自分の力ではどうにもならない大きなものとの戦いには、お父さんやお母さんや先生が助けてくれる経験が怖さに立ち向かう勇気を与えてくれるのです。
今のお子さんの姿は、未経験な想像力がなせる技と捉えたほうが良いかもしれません。
:ご主人は「泣いても頑張らせろ」と言うそうです。
:泣くということは、言葉に説明できない感情の表現ですから、我慢させるといった無理強いはできないものです。泣き止ませることに焦っては、長引くばかりですから、しっかり抱きしめてあげて、これはこういうことだから大丈夫と、理解できるように説明を繰り返して頑張らせた方がいいでしょう。5歳のお子さんですから、現実をおさえながら、ゆっくり話せばわかるはずです。
:どうしたら強くなっていくのでしょうか、とのことですが。
:ひとつは、現実をみたり、考えたりする力を訓練して身に着けることです。そして、怖い時には必ずお父さんとお母さんがついているから大丈夫と、安心させることです。その精神的な拠点を持つことが大切です。そうしたら、必ず成長と共に、怖がらなくなり、強くなっていくことでしょう。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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