おばあちゃん子な息子について ▶5歳男児のお母様より

Q

私達夫婦は共働きをしています。息子の幼稚園の送り迎えや、園から帰ってからの生活は、すべて主人の両親にお願いしています。そのため、息子はおばあちゃん子で、祖父母のことが大好きなようです。そのことはとても良いことなのですが、先日の母の日に、息子は私ではなく、おばあちゃんにプレゼントしたいと言いました。もちろん、私はダメだとは言わなかったのですが、正直その言葉がショックで、泣けて仕方がありませんでした。
仕事をしているから、仕方がないのでしょうが、これから息子にどのように向き合っていったらいいのでしょうか。

A

:共働きをされているお母さまの中には、こんなお気持ちになられる方が多くいらっしゃるのでしょう。お気持ちは本当によく分かります。子どものために、もっと何かをしたいと、いつも思っていらっしゃるのでしょう。
: お子さんの幼稚園の送り迎えや、園から帰ってからの生活は、すべてご主人のご両親にお願いしているとのことです。
:社会で責任を持った仕事をされていれば、時間的にそうなってしまうのでしょう。8時間の労働をなさっているのに、4時間の保育時間では、どうしても誰かの手助けが必要になりますから。
: お子さんは、おばあちゃん子で、祖父母が大好きとのことです。
:そのことを『良いこと』だとお母さまが思われていることもまた、いいですね。このお子さんが、性格的にとても良い子で、おばあちゃまやおじいちゃまに愛されているのでしょう。それは、お子さんとお母さまとの愛着関係がしっかりできているからだからということを、お母さまが気付かれるといいでしょうね。
: どういうことでしょうか。
:お子さんが一日をどのように過ごすのか、という生活設計はおそらく、子育ての第一責任者のお母さまが決めて、おばあちゃまにお願いしているはずです。それがスムーズにいっているということは、お子さんのお母さまに対する信頼と愛情が土台になって、実現している証拠なのです。お母さまは、その役割の大きさに気付いて、自信を持つことです。
: 母の日に、お子さんはお母さまではなく、おばあちゃまにプレゼントしたいと言ったそうです。
:きっと、幼稚園で母の日について話す時、自分の身の回りのこと、例えば、ごはんやおやつを作ったり、洗濯をしてくれたり、お掃除をしてくれたり、そういった具体的な例を出して『ありがとうといいましょう』なんて言ったのだと思います。そうすると、お子さんはまだ幼いですから「じゃあおばあちゃんにありがとうと言ってプレゼントを渡そう」ということになったのではないでしょうか。とても素直でよい子だと思います。
: お母さまは、とてもショックだった様子です。
:それはショックでしょうね。お子さんを愛していらっしゃるお母さまなら、当然です。お子さんに、してあげられないことばかりをみて、ご自分を責めていらっしゃるのでしょう。泣きたくなるお気持ちもよくわかります。
けれども、考えて見れば、お子さんが『おばあちゃんにプレゼントしたい』とお母さまに言ったことは、素晴らしいことです。隠れておばあちゃまにプレゼントをしたわけではなく、お母さまの存在を中心に据えて、許可を得ようとしたのですから。お母さまの存在はこのお子さんの中では、絶対的に中心であり、第一のものである証拠です。
: 仕事をしているから、仕方がないともおっしゃっていますが。
:そういうこともあるでしょう。でもそんなにご自分を責めず自信を持って仕事をし、お子さんにとって精神的な拠点であることです。また母として、社会人として、きちんと自立していることは大切なことです。
: これから息子にどのように向き合っていったらいいのでしょうか、とのことですが。
:今までどおり、子育ての第一責任者として、堂々とした姿勢を貫かれればいいと思います。
「あなたは、おばあちゃまにありがとうのプレゼントができる優しい良い子なのね」
「ママのできないことをおばあちゃまがしてくださるので、こんなに良い子になったのでしょうね。ママからもおばあちゃまにありがとうと言うわね」
とお子さんを褒めて、自分も一緒にありがとうの気持ちを伝えたら、もっと楽になるはずです。子どもとの一体感を感じることができるからです。どんなに優しいおばあちゃまでも、お母さんを超えることなどできません。安心して、しっかりと、仕事と子育てに励まれるとよいと思います。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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