希望する楽器の係りになれないために園に行きたくない子どもについて ▶5歳男児のお母様より

Q

息子は年中組に通っています。息子の通う園では、音楽会があり、今はその練習をしているようです。けれども、息子はやりたい楽器の担当にはなれなかったため「練習なんかやりたくない!」「園に行きたくない!」と言っています。私が「決められた事なのだからしっかり頑張らないといけない」と注意しても聞きません。
どうしたら、そのようなことがわかり、意欲的に練習に取り組めるのでしょうか。

A

:自分の要求を、こんなふうに表すお子さんに対応するには、まずお子さんの気持ちを受け入れることから始めることが大切です。上手とか下手とか抜きにして、やりたい意欲も自信も子どもにとっては大変重要なことです。
それをお母さまが認めたうえで、お子さん自身が納得できるような道のりを、一緒に探すことだと思います。
: 楽器の担当が決まったものの、お子さんのやりたいものではなかったようです。
:このような決定には、園の方でも工夫の必要がありますよね。主体性が出てきた子どもの我がままのみを責めるのも、問題かと思います。
: 練習をやりたくない、とまで言っているようです。
:それほどまでに、やりたいと思うような何かがあったのでしょう。それをわかってあげなければなりません。
: お母さまは、決められた事をしっかり頑張るように、注意したようです。
:そんな言葉で納得できるほど、子どもの主張は簡単ではないでしょう。
子どもがこだわるほど持っている思いを変えさせるには、子ども自身が納得して気持ちが治まらなければなりません。
まず、あの楽器をやりたいのだというお子さんの気持ちを受容してあげて、その思いを肯定することです。
別の楽器の練習に、意欲的に取り組むのは、その先のステップになるでしょう。
: 園に行きたくないということについてはいかがでしょうか。
:問題解決の方法を助言しながら『一番大切なことは何か』をお子さんと一緒に考える、きっかけにされるとよいでしょう。
: それはどのようにしたらいいのでしょうか。
:「あなたはどうして幼稚園にいくのかな?」
と聞いてみてください。きっと子どもなりの答えが返ってくるでしょう。お友達と遊ぶためとか、小学校へ行く前のお勉強をするためとか、そういった答えが返ってくると思います。どんなにつたない答えでも、自分で考えたことを褒めて、
「あなたが大きくなって、お友達と仲良くできるようになったり、いろいろなことができるようになったりするために、幼稚園という学校に行くのよ」
「あなたの自信のある、楽器の○○はその中のひとつなのよ。その他にもいっぱいあるのよ」
「お休みしたら、その他のことが何もできなくなっちゃうわ」 「幼稚園に行かないことは、その全部を投げ出してしまうことになるのよ」
「それでもいいのかな?よく考えてお答え出して」
というような、言葉かけをしてはどうでしょうか。
いつも大きい目的を考えることができるトレーニングは、こんな幼い時から、始まっているものです。完璧でなくてもいいので、そんなトレーニングの入り口となさるといいでしょう。
大切なことは、現象だけに焦って巻き込まれないことです。

(ラジオ番組「楽しい子育て」より)
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